2014年11月20日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新21)

11月19日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要点(ハイライト)

  • エボラウイルス病の患者数は15,145人、死亡者は5,420人になりました。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは未だに流行が続いています。
  • 最も感染が深刻な3か国では、エボラウイルス病患者の管理および安全かつ威厳を払った埋葬への対応能力の増加、検査サービスを利用できる環境の拡大など、対策の向上が続いています。
  • マリでは、死亡者5例を含む総計6例の患者が報告されました。

要約
2014年11月16日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は15,145症例、死亡者数は5,420症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国のうち、ギニアとリベリアでは報告される全国規模でみる患者発生率は上昇することがなくなりました。ギニアとリベリアでの流行は、現在、いくつかの主だった深刻な感染の伝播が生じている地域からもたらされているようです。一方、シエラレオネの北部と西部では依然として感染の伝播が深刻です。ギニアのN’Zerekore(ンゼレコレ)、リベリアのMontserrado(モンセラード)、シレアレオネの北部と西部、特に首都フリータウンおよびPort Loko(ポート・ロコ)の近くでは新規患者の発生が最も多くなっています。

マリでは、死亡者5例を含む総計6例の患者が報告されました。最も新しい患者はマリの首都バマコからの報告で、最初にエボラ検査陽性で、10月24日に死亡した患者との関連はありません。最初に確認された患者との接触者は全員が21日間の健康監視期間を完了しました。

最も流行が深刻な3か国では、対策の向上を続けています。いまでは18のエボラ治療センターで1000床以上のベッドが稼働しています。このベッド数の増加は患者を隔離し、病気の拡大を防ぐ対応能力でもあります。安全かつエボラウイルス病で亡くなった患者に威厳を払った方法で埋葬する対応能力は流行の拡大を防ぐ重要な部分です。流行の発生以来、4800を越える死者に安全かつ威厳を払った埋葬が行われてきました。最も流行の伝播が深刻な3国の53のエボラ流行地域では集められた検体を24時間以内に検査室に送ることが可能になっています。

WHOのロードマップの体系(リンク)では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。今回は、このうち2つのカテゴリー、(1)広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、(2)初期の症例が生じた国、あるいは局所的な感染が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)についての報告です。エボラウイルス病が独自に、関連なく発生しているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
ギニアとシエラレオネの各保健省から11月16日付けで、リベリアの保健省から11月15日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況によれば、患者数が15,113症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)、死亡者数が5,406症例となっています(表1)。データはWHOの各国事務局から得られたものです。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは、WHOの各国事務局を通して、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。*は再分類されるべき疑い症例の割合が大きいために報告されていません。§は11月16日のデータが欠損です。

国別の状況についても報告されています。その情報は原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の累積患者数と過去21日間の新規患者数の地理上の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

※データは、各国による状況報告に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

11月16日現在、584名の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました。うち329名が死亡しています。ここにはマリの2名(うち1名死亡)、ナイジェリアの11名、スペインのエボラ陽性患者治療の過程で感染した1名、アメリカ合衆国の1名(うち2名が国内で感染、1名はギニアで感染)が含まれています。11月16日までの週には、リベリアで8名、シエラレオネで3名の感染が報告されました。しかし、リベリアでの報告は前週に発生したものではなく、過去に報告されていなかったものが報告されたようです。

それぞれの医療従事者症例における感染状況を決定するために広範囲にわたる調査が実施されています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療および看護のためのセンター以外の場所で発生したということです。これは、エボラに関連する施設だけではなく、全ての診療施設で感染の予防と管理の対策に十分な注意を払うことの必要性を強調するものです。WHOは患者を直接介助する医療従事者に対する個人用防護具のガイドラインの検証を行ってきました。現在のエボラ流行の状況に合わせてガイドラインを更新しています。個人用防護具を使用する際に必須の総合訓練と医療を行う前に個人用防護具を使用する者の全員を指導することが医療従事者と患者を保護する基本になると考えられています。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
現在までに、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。

マリでは、5例の死亡例(確定例4例、可能性の高い例1例)を含む、総計6例の患者が報告されました。この最も新しい症例はマリの首都バマコからの報告であり、最初にエボラ検査陽性で、10月24日に死亡した患者との関連はありません。最初に確認された患者との接触者は全員が21日間の健康監視期間を完了しました。11月16日までに、合計384名の接触者が確認され、健康監視下にあります。384名のうち96名の接触者は医療従事者です。

スペインでは、マドリッドで患者の治療中に感染した医療従事者が2度の検査陰性を経て、病院から退院して以来28日が経ちました。この医療者に対する接触者83名は既に21日の健康監視期間を完了しています。

アメリカ合衆国では、1名の死亡を含む4例の感染がありました。ニューヨークの1名の医療従事者、テキサスの2名の医療従事者は、2度のエボラ検査陰性の結果を得て、既に退院しています。この国での全ての接触者は21日間の経過観察期間を完了しました。

表7:マリ、スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

141120_WHO_Ebola_roadmap_Table2.jpg

※ 合衆国のデータはリベリアからのエボラ患者の治療にあたっている間に国内で感染し医療従事者2名とギニアで感染した1名を含んでいます。データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

ナイジェリアとセネガルでは終息が宣言されています。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年11月11日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8例を含む66例のエボラウイルス疾患(確定診断例38例、可能性の高い症例28例)が報告されています。全体で49例の死亡が報告されました。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。経過観察を受けている新規接触者の報告はありません。

最後の症例が2回目の検査で陰性が確認され、病院を退院したと公表された日から41日が経ちました。新規症例の報告がなく、2度目の検査陰性の日付から42日が経てば、この国は終息を宣言することができます。この流行は、ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国で流行しているものとの関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,19November2014
http://www.who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/?m=20141119