2014年12月17日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告について (更新4)

2014年12月7日付けで公表されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報によりますと12月7日第49週までに太平洋地域で以下のような症状の発生が報告されています。

  • 急性発熱と発疹:マーシャル諸島、パラオ、サモア
  • 遷延性発熱:トンガ
  • インフルエンザ様疾患:アメリカ領サモア、パラオ、ツバル
  • 下痢:トンガ

疾患別の発生状況

チクングニア熱

  • チクングニア熱の流行がアメリカ領サモア、フランス領ポリネシア、サモア及びトケラウ諸島で続いています。
  • 2014年10月中旬にフランス領ポリネシアでチクングニア熱が発生して以来、ニューカレドニアで先住民族で初めてチクングニア熱患者が発生したことが報告されました。
  • 2014年10月10日から11月30日までで、フランス領ポリネシアにおけるチクングニア熱の推定患者数は、26,748人です。このうち765人が入院し、6人が死亡しました。
  • アメリカ領サモアでは、2014年6月15日以来1,171人の患者が報告され、19人が入院しました。現在、週毎の患者数は減少しています。

参考

デング熱

デング熱1型の流行がフランス領ポリネシアで続いています。2014年11月30日週末までに29例の患者が確認されました。

麻しん

パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツなど、太平洋のいくつかの国で麻疹の流行が発生しています。

インフルエンザ

アメリカ合衆国の初期データから、2014-2015年インフルエンザ流行期は厳しいものになるかもしれないことが示唆されています。今年はこれまでのところ、主に季節性インフルエンザA(H3N2)ウイルスが流行しています。このウイルスが優勢なときには、歴史的に流行期に、インフルエンザにおいて病態、入院および死亡に厳しい状況が起きています。分析されたH3N2型ウイルスのおよそ半分がドリフト変異体であることが、インフルエンザ流行期が厳しくなる危険性を増加させることがわかっています。これは、ワクチン接種した人が感染したとして、その人の症状はやや軽くなるかもしれないけれども、このウイルスに対するワクチンの防御能力は弱いことを示唆します。

関連地域へ渡航、滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除している場所での滞在を検討してください
  • できるだけ皮膚の露出部を少なくする長袖のシャツ、ズボンを着用してください
  • 流行地域で屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤の皮膚の露出部への使用を考えてください(使用する際は、注意事項をよく読み指示された使用法を守ってください。濃度が濃く、肌に炎症を起こす物もあります。日焼け止めは、虫よけよりも先につけて使用してください。順番を間違えると効果が弱まります。)
  • 肌が敏感な子ども、とくに乳児での虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。炎症を起こすことがあります。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳で被うことを考えてください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、早目に医療機関を受診してください。
  • また、帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関を受診してください。受診方法については検疫所や保健所でも相談することができます。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

出典

WPRO.Pacific sydromic surveillance report. Week 49, ending 7December,2014.
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-7-December-2014/en/