2015年01月15日更新 エボラウイルス病の発生状況 (第2週)

2015年1月14日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。エボラウイルス病の患者数は21,296人、死亡者数は8,429人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の流行発生状況、医療従事者での流行発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • ギニアでは、2014年8月17日末の週以来、新しく確認されたエボラウイルス病の患者数が最低となりました。リベリアでは、患者発生数は低水準にとどまっており、公式には2015年1月11日末の週の最後の2日間は確認された患者はいませんでした。患者数は、2014年6月第一週以来の最低数にとどまっています。シエラレオネでは、この第二週、患者発生数が減少していることが報告され、2014年8月31日末の週以来、新しく確認された患者数が最低を記録しました。
  • 流行各国は患者を隔離し治療するために、確定患者と可能性の高い患者に2床以上のベッドを充てられる十分な受入れ能力を備えました。しかし、ベッドと患者の地理的な不均等分布、報告に上がらない患者の存在は、いくつかの地域ではエボラウイルス病患者の隔離が完全ではないことを示唆しています。
  • 同様に、各国は、死因がエボラウイルス病と分かっている患者については全てを埋葬する受入れ能力を整えました。しかしながら、報告に上がらない死亡者の存在は、全ての埋葬が安全に行われているとは言えないことを示唆しています。
  • 流行3か国では、多くの地域で患者に対する接触者数が予想されるよりも少人数にとどまるものの、登録された84%から99%の接触者が健康監視下におかれていると報告されています。流行が治まってきた地域では、厳密な接触者の追跡が実質的に流行の連鎖を断ち切ったと言えます。1月11日末の週では、ギニアにおいて新しく確認された患者の15%が既知の接触者からのものでした(リベリアとシエラレオネでは同種の情報は利用できていません)。
  • 流行3か国には、現在、27か所の感染を確認できる施設があります。さらに、要請に応えるために4か所の開設が予定されています。
  • 入院患者の中での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国でおよそ57%から60%の間です。
  • これまでに、流行国からは825名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、493名が亡くなっています。
  • 安全な埋葬から接触者の追跡まで、エボラウイルス病対策のあらゆる要素が、感染が流行する地域で対策を主導するために、地域活動を積極的に行う人々の手に委ねられています。これまでのところ、ギニアの38地域のうち33 地域(87%)で、リベリアでは全地域で、シエラレオネでは14地域のうち8地域(57%)で地域社会での参加活動の状況をみる拠点を設置しました。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラウイルス病患者(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)が21,000を超え、死亡者数も8,300を超えました。死亡者数は、また低く見積もられています。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍(35人vs. 101人)、45歳以上の成人では約4倍(35人vs. 130人)になっています。
  • 10万人あたりの患者発生数は、ギニアでは26人、リベリアでは210人、シエラレオネでは176人となっています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは各国の保健省からの公式情報です。これらの数値は再分類再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い症例と可能性の高い症例の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。各国ともに発生数が低下していることが分かります。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図,ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:データは各国から提供されて状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々 あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。*ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリからのデータは過去21日間の診断確定症例によるものです。

医療従事者の感染状況

2015年1月11日までに、合計843名の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました。このうち500名が亡くなっています。

表6:医療従事者の患者数および死亡者数

150115_WHO_ebola_roadmap_table6.jpg

注釈:データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は再分類再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。ギニアのデータは、患者数は確定診断例だけ、死亡者数は確定診断例と可能性の高い症例を示しています。リベリアのデータは、患者、死亡者ともに確定診断例だけの数値です。シエラレオネのデータは、患者、死亡者ともに確定診断例、可能性の高い症例、疑い例を示しています。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラウイルス病患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けています。感染防御対策として、公衆衛生当局は可能性のある接触者全員について調査を行っています。ハイリスクの接触者は見つかっていません。
  • マリでは、現在までに8人の患者が報告され、6人が死亡しています。最近の7症例は首都Bamako(バマコ)で発生しており、10月24日に死亡した Kayes(カイ)での最初の症例とは関係がありません。最後の確定患者における2回の陰性結果が12月6日に得られ、同11日に退院しました。最初の症例とバマコで発生した症例に関係した接触者は全員が21日の健康監視期間を終えました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmap.Situation report. 14 January 2015.
http://www.who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/?m=20150114