2015年01月22日更新 エボラウイルス病の発生状況 (第3週)

2015年1月21日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。エボラウイルス病の患者数は21,724人、死亡者数は8,641人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の流行発生状況、医療従事者での流行発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • ギニア、リベリア、シエラレオネとも、患者発生数は減少が続いています。患者発生数の半減時間は、ギニアで1.4週、リベリアで2.0週、シエラレオネで2.7週となっています。第3週における流行3か国を合わせた患者発生数は145人で、ギニアが20人、リベリアが8人、シエラレオネが117人でした。
  • マリでは、最後に検査陰性の結果を得てから42日目を迎えることができました。そのため、エボラウイルス病の終息が宣言されました。
  • 調査と情報の重点は、ギニア・ビサウ、コート・ジボアール、マリおよびセネガルなどの流行3か国に隣接する国々に移されていきます。
  • 流行3か国は患者を隔離し治療するために、確定患者と可能性の高い患者に2床以上のベッドを充てられるだけの十分な収容能力を備えました。それぞれの国において、ベッドの計画数は患者発生数の減少にともない、減らしていく状況です。
  • 同様に、各国はエボラウイルス病で死亡した全ての患者を埋葬する対応能力を整えました。
  • 流行3か国では、多くの地域で患者に対する接触者数が予想されるよりも少人数にとどまるものの、登録された接触者の89%から99%が健康監視下におかれていると報告されています。1月11日(原文どおりに記載)末の週では、ギニアにおいて新しく確認された患者の53%が既知の接触者からのものでした。同じく、リベリアでは1月1日から15日までで53%が接触者からでした。(シエラレオネでは同種の情報は利用できていません)。
  • 流行3か国には、現在、27か所の感染を確認できる施設があります。さらに、要請に応えるために5か所の開設が予定されています。1月18日までの3週間における検体収集までの平均時間は、ギニアでは1.37日(報告されていないいくつかの地域がある)、リベリアでは2.03日、シエラレオネでは2.32日でした。
  • 入院患者での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国でおよそ57%から59%の間です。流行の発生から改善の傾向は見られていません。
  • これまでに、流行3か国からは828名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、499名が亡くなっています。医療従事者の感染数は、リベリアとシエラレオネでは減少しています。しかし、ギニアでは12月に増加していました。
  • 地域社会での参加活動の指標として、ギニアの71%、シエラレオネの100%の地域で、安全かつ敬意を払った埋葬を推し進めるためにカギとなる地域主導者の情報を得ています(リベリアでは同種の情報は利用できていません)。流行3か国においては、安全かつ敬意を払った埋葬と接触者の追跡に対する地域社会の抵抗事例が続いています。事例は、ギニアで最も多くなっています。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラウイルス病患者(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)が21,000を超え、死亡者数も8,600を超えました。1月18日までの7日間に、ギニアで20人、リベリアで8人、シエラレオネで117人の新たな患者発生が報告されています。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
  • 流行3か国では828名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、499名が亡くなっています。(3か国の他に、18名の感染と7名の死亡が発生しています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは各国の保健省からの公式情報です。これらの数値は再分類・再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。各国ともに発生数が低下していることが分かります。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。*データは過去21日間の診断確定患者によるものです。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラウイルス病患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けています。感染防御対策として、公衆衛生当局は可能性のある接触者全員について調査を行っています。ハイリスクの接触者は見つかっていません。
  • マリでは、最後に検査陰性の結果を得てから42日目を迎えることができたために、1月18日に、エボラウイルス病の終息が宣言されました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 21 January 2015.
http://www.who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/?m=20150121