2015年01月29日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新2)

2015年1月27日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、香港特別行政区政府は、2015年1月23日、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者1例の発生を検査で確認したことを知らせました。

症例の詳細情報

  •  79歳男性。患者は2015年1月19日に発症し、同日、個人の診療所を受診しました。1月22日に患者はAlice Ho Miu Ling Nethersole病院の救急救命部に運ばれ、その後、Princess Margaret Hospital(プリンスマーガレット病院)の病院統括感染症センターにさらなる患者の治療と隔離のために搬送されました。患者は全てにおいて安定した状態です。

これまでに入手できた情報によれば、患者は香港以外で感染したとみられています。最初の疫学調査では、患者は1月5日に広東省東莞(トンガン)・樟木頭(ジャンムートウ)に旅行していることが明らかになりました。患者は、旅行中に生きた家きんをさばく屋台のある市場を訪れました。しかし、家きんとの直接の接触はありませんでした。患者は1月19日に香港に戻りました。

衛生防護センター(CHP)は患者との濃厚接触者の調査を行っています。これまでのところ、鳥インフルエンザA(H7N9)に関する全体としてのリスクは変わっていません。

WHOは鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況の厳重な監視を続けており、リスク評価を行っています。これまでのところ、全体的なリスク評価は変わっていません。

WHOからのアドバイス

WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物体との接触を避けることを勧めています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を維持すべきです。

WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨していません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

WHOは、国際保健規則(2005)に基づき、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、慎重に通常と異なる傾向がみられた症例については検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民医療の事前計画の活動を続けていくことを求めています。

中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所にご相談ください。

出典

WHO, Global Alert and Response(GAR).
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China, 27 January 2015
http://www.who.int/csr/don/27-january-2015-avian-influenza/en/