2015年01月30日更新 ヒトと動物に共通するインフルエンザ感染症の概況 (更新1)

2015年1月26日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、鳥インフルエンザ感染症の概況は以下のとおりです。

鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスのヒトへの感染

2003年から2015年1月23日までに、16か国から718例の検査にて確定診断された鳥インフルエンザ(H5N1)感染者が公表されました。このうち、413例が亡くなっています。

2015年1月6日の更新以降に、エジプトから11人の致死症例を含む新たな検査確定患者24人が報告されました。

24人のうち、7人は2014年12月に発症し、残る患者は2015年1月に発症しました。患者はエジプトの異なる9つの行政区域から報告されています。新たな患者のうち、Assiut(アシュート)県では確定診断された兄弟2例による集団感染がありました。2人は同じ日に発症し、2人とも裏庭の家禽との接触がありました。3人を除く全ての患者には家禽との接触または家禽市場との接点がありました。感染源は現在調査中です。

前年と比べて、また前年の同月と比べて、エジプトでの家禽におけるインフルエンザA(H5N1)ウイルスの検出と流行の発生件数が増えています。

エジプトで12月に鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスのヒトへの感染が検査確認された件数は、いかなる国の1か月の報告数よりも多いものです。インフルエンザウイルスは時間とともに変化しますが、過去の分離株に比べて、患者や動物から分離されたウイルスに重大な遺伝変化を起こしたという報告はありません。この感染者数の増加は、いくつかの要因、即ち、家禽におけるインフルエンザA(H5N1)ウイルス流行の増加、エジプト中流部、上流部でのリスクに対する公衆衛生上の注意喚起の低下、寒さによる家禽に接する機会の増加や環境下での活性時間の延長などの季節要因が重なったとみられています。疫学とウイルス学の両面から、ヒトと動物に対する調査が行われています。

鳥インフルエンザ(H7N9)ウイルスのヒトへの感染

WHOには死亡患者185人を含む鳥インフルエンザ(H5N1)486人の検査確定感染者が報告されています。中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)から469人、台湾の台北疾病管理センターから4人、香港の衛生防護センター(CHP)から12人およびマレーシアからの中国を旅行した人の報告1人です。

最近報告されているヒト感染例のほとんどは感染した生きた家禽との接触または生きた家禽類を売る市場を含むウイルス汚染された環境との接触と関係しています。過去にヒトから分離されたウイルスと比べて、最近に患者から分離されたウイルスに重大な遺伝変化を起こしたという報告はありません。これまでの情報からは簡単にはヒトからヒトへの感染は起こらないことが示唆されています。

WHOの取り組み

インフルエンザウイルスが恒常的に変化する特性をもつために、ヒト(または動物)の健康に影響を与える可能性のあるインフルエンザウイルスの流行に関連して、ウイルス学、疫学、臨床医学的な変化を検出するために世界規模で調査の行うことの重要性をWHOは強く主張し続けています。IHR(2005)の下で、非季節性インフルエンザウイルスが起こす全てのヒト感染例は、WHOに報告されています。国際基準にしたがって、動物やヒトからのインフルエンザウイルスが的確に動物または人に対するインフルエンザの衛生研究所で十分にその特徴を分析され、報告されることが重要であるとWHOは考えています。

出典

WHO, Influenza at the human-animal interface
Summary and assessment as of26 January 2015
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/Influenza_Summary_IRA_HA_interface_26January2015.pdf.pdf?ua=1[PDF形式:392KB]