2015年02月05日更新 エボラウイルス病の発生状況 (第5週)

2015年2月4日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。エボラウイルス病の患者数は22,495人、死亡者数は8,981人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 今年になって初めて、1週間の患者発生数が全ての国で増加してしまいました。2月1日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで39人、リベリアで5人、シエラレオネで80人の、合計124人でした。
  • 地域社会の抵抗が続き、ギニアでは(発生患者の)地理的な拡大を、シエラレオネでは感染の伝播が広範囲に拡がりを見せており、患者発生数の上昇はエボラウイルス病流行の対策がまだ重大な課題に直面していることを示しています。
  • 雨期における取り組みとして、できるだけ広い地域で、特に交通が今後困難となる遠隔地で、流行を終わらせることが緊急の必須事項です。
  • ギニアでは、新たな確定患者の発生数が前週の30人に対して(今週は)39人も報告されています。コートジボアールとの国境近くの東部Lola(ローラ)県では、1月初めに行われた安全性に欠けた埋葬が原因で、これまでに11人の確定患者が発生しました。さらに、マリとの国境に近い北部Siguiri(シギリ)県でもローラ県を感染源とする患者が発生しました。
  • マリとの国境に近い北部ギニアのTougue(トゥゲ)県では、初めて2人の患者が確認されました。これらの患者は西部Dubreka(ドゥブレカ)県(の患者)を感染源としていました。
  • ギニア北部での最近の患者発生数増加に関連して、ギニア、マリ、セネガルとの間で、共同での調査を強化するための会議が近く計画されています。緊急対応チームも、ギニアのローラ県とリスク評価および調査の強化が必要となるコートジボアールとの国境地域に到着しています。
  • シエラレオネでは、2月1日までの1週間に前週の65人に対して、(今週は)新たに80人確定患者の発生が報告されました。西部地方のPort Loko(ポート・ロコ)と首都のフリータウンが最も感染が深刻な地域となっています。この国の14地方のうち9地方で少なくとも1人の患者が報告されました。これは前週の7地方よりも増えています。
  • (当面の)目標は新たな患者全員が登録された接触者からの発生で掌握されることです。それは、それぞれの感染の連鎖に対して追跡と遮断ができたことを意味します。ギニアでは、1月25日までの1週間に確定患者と可能性の高い患者26人のうち14人(54%)が登録された接触者の中から発生しました。リベリアでは、1月31日までの9日間に新たな確定患者7人のうち7人全員(100%)が登録された接触者の中から発生しました。シエラレオネでは1月18日までの1週間に確定患者121人のうち26人(21%)が登録された接触者の中から発生しました。
  • 入院患者での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国で50%から61%の間です。
  • 流行3か国からは822名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、488名が亡くなっています。
  • ギニアでは、2月1日までの1週間に34県のうち10県で協力拒否についての安全保安上の事例またはその他の形態が少なくとも1件報告されました。リベリアからの事例報告はなく、シエラレオネでは、1月27日までの1週間に4地区から同様の事例が少なくとも1件報告されました。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラウイルス病患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が22,500人近くとなり、死亡者数も9,000人近く(たくさんの未知の報告があります)に達しました。2月1日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで39人、リベリアで5人、シエラレオネで80人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
  • 流行3か国では822名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、488名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは各国の保健省からの公式情報です。これらの数値は再分類・再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラウイルス病患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けました。患者は1月23日にエボラウイルス病検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を完了しました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 4February2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/151311/1/roadmapsitrep_4Feb15_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.2MB]