2015年02月27日更新 欧州における麻しんワクチン接種の強化が求められています

WHO欧州地域事務局は2月25日に、昨年の欧州における麻しんの流行状況と留意点についての情報を公表しました。

WHO欧州地域事務局は、麻しん感染のリスクのある年齢層での予防接種を強化することを政策担当者、医療従事者および(その子どもをもつ)親に対して求めています。これはWHO欧州地域の国々で発生した大規模な流行に終止符を打つこと、そして将来に同様の流行が発生することを防ぐことの助けとなります。

この地域の7か国では、2014年から2015年のこれまでに22,149人の麻しんの発生が報告されています。これは2015年末までに麻しんを一掃するという地域目標を脅かすものです。麻しんの患者数は、2013年から2014年には50%減少したものの、大規模な流行は続いています。

WHO欧州地域事務局長Zsuzsanna Jakab博士は以下のようにコメントしています。

「我々は、過去20年間に麻しん患者の96%を減らしてきており、この病気の一掃から離れられるものと考えてきましたが、この数字に大きな衝撃を受けています。ワクチン接種者の隙間を埋めるために、遅滞なく集約的に対応していかなければなりません。」「安全かつ効果的にワクチン接種を可能にするために続けてきた50年の努力の後に、(今後も)麻しんで、生命、お金、時間が費やさせれることは受け容れ難いことです。」

2014年から2015年現在までに7か国で麻しんに罹患した患者数は以下のとおりです。

国名患者数
キルギスタン7,477
ボスニア・ヘルツェゴビナ5,340
ロシア連邦3,247
グルジア3,291
イタリア1,674
ドイツ583
カザフスタン537

麻しんには、ワクチン未接種やワクチンの効果が低く麻しんに感染しやすい年齢層(ポケット)があります。特に、親がワクチン接種を拒む患者の数、ワクチンを接種することが困難な患者の数が増えることに伴って、欧州での麻しんは発生し続けています。旅行は、ワクチンを接種しておらず麻しんに感染しやすい集団に対して、麻しんウイルスへの接触機会と感染拡大へのリスクを高めます。

「リスクの高い人々への予防接種活動を通じて、麻しんが発生したすべての国では、現在の発生を制御することが最優先事項となります。」「同時に、例外なく、すべての国で、定麻疹ワクチンの定期接種が非常に高い割合で維持する必要があります。そうすれば、この地域で再び同様の患者が発生することはなく、麻しんを全ての人々から一掃することができます。」とWHOヨーロッパ地域事務局、伝染病、医療保障および環境課の課長補佐、Nedret Emiroglu博士は結論づけています。

現在発生している感染を制御するための対策に必要なことは以下のとおりです。

  • 疑いのある患者を全て発見し、調査するためのサーベーランスの改善
  • 速やかに患者を検査し、流行伝播の連鎖を特定すること
  • 麻しんに対する免疫応答におけるベネフィット(有利な点)とリスク(不利益)に対して、信頼性のある証拠に基づいた情報を利用できるようにすること

ヨーロッパ諸国でこれらの取り組みをサポートするために、WHO欧州地域事務局は、グローバルワクチン活動計画の地域活動の一環として、新たに欧州のワクチン活動計画(EVAP)を開始しました。WHO欧州地域委員会として活動するために、加盟国は2014年9月にEVAPを承認しました。地域事務所は、疫学データの報告、麻しんと風しんの一掃を促進するための一貫した活動、麻しんウイルス一掃の過程を検証するための体制作りを含むありとあらゆる情報を提供しています。

FORTH感染症情報

麻しん(はしか)

出典

WHO/Region office for Europe.
Media center events. WHO/Europe calls for scaled-up vaccination against measles.
http://www.euro.who.int/en/media-centre/sections/press-releases/2015/whoeurope-calls-for-scaled-up-vaccination-against-measles

参考

FORTH最新ニュース
麻しんについて (ファクトシート)(2015年2月)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2015/02121326.html