2015年05月07日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第18週)

2015年5月6日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は26,628人、死亡者数は11,020人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 5月3日までの1週間のエボラ出血熱確定患者数は、18人でした。ギニアとシエラレオネでそれぞれ9人が報告されました。これは、この数か月間、患者発生数が30人から37人の間で上下した後で、今年に入って最低値の週別患者数です。両国で患者が10人を下回ったことは希望を与えることです。しかし、自己満足に陥らないことが重要です。リベリアでは今年の1月初めから患者数が常に10人を下回っていました。このまま5月9日まで新たな患者の報告がなければ、最後の確定患者が埋葬されてから42日目が数えられるため、流行が終息したことが宣言されます。
  • ギニアでは、9人の患者がフォレカリア県から報告されました。残る9人はフォレカリア県と国境を接するシエラレオネのカンビア地区と、首都フリータウンを含む西部都市地区から報告されました。この報告された地域の数は、流行3か国で確定患者が報告された2014年5月以降、最も低い数値になります。流行の発生開始以来、少なくともひとりの患者が報告された、ギニア、リベリア、シエラレオネの55地域のうち、41地域では6週間(42日)以上で患者が報告されていません。
  • ギニアでは、前週には1週間に少なくともひとりの患者が報告された県が5つありましたが、5月3日までの1週間にはフォレカリア県ひとつだけにとどまりました。しかし、県自体は大きく、報告された9人の患者は広く県下の6つの地域に分散しています。しかも、9人のうち5人は、その5人のうち1人が以前の患者との接触機会をもつ登録者ではあったものの、地域における死後の検査で発見されました。残りの4人は、以前の患者との接触機会をもつ登録者からでした。5月3日までの1週間に7県から36件の安全性を欠いた埋葬が報告されました。これは、7県で記録された死亡者368人の10%になります。1つの検査所でのデータが欠損しているものの、5月3日までの1週間に、374検体が検査されました。エボラ出血熱検査の陽性検出率は4%でした(反復検査を含む)。総合的に判断すると、これらの情報は、感染の連鎖を追跡することが依然として困難で、現在も今後数週間に患者発生数の増加および/または地理的な拡大が起こる可能性があることを示唆しています。
  • シエラレオネから報告された9人は、地図上の2つの集団に分けられました。大半(5人)の患者はカンビア地区から報告されました。前週も8人が報告されています。地区の中では、患者はMagbemaのChief(首長)支配地域で4人とGbinle Dixingで1人、この1人はギニアとフォレカリア県で国境を接する地区からでした。残る4人は全員がフリータウンの東部のひとつのChief(首長)支配地域であるMoa Wharf地域から報告されました。9人の患者のうち、3人(Moa Wharfの1人とMagbemaの2人)は地域の施設で行った死後の検査で発見されました。加えて、9人のうち2人は以前の患者との接触機会をもつ登録者から発見されました。しかし、さらに調査を行った結果、9人のうち加わった5人は既に確認されている感染連鎖と疫学的に繋がりがあることが分かりました。検査の実績は5月3日までの1週間で1,654検体に上り、その指標は高度な警戒が維持されていることを反映しています。エボラ出血熱検査の陽性検出率は1%以下でした。
  • リベリアでは、最後に確定診断された患者は3月27日に死亡し、3月28日に埋葬されました。全国全域にわたって高度に警戒体制が維持されています。5月3日までの1週間に、新たに319検体でエボラ出血熱の検査が行われましたが、確定患者の発生はありませんでした。
  • 5月3日までの1週間に、新たに感染した医療従事者はいませんでした。3週間続けて感染の報告はありません。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから868名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計26,593人、死亡者は11,005人となりました(この患者数は確定患者、可能性の高い患者から報告されたものです。この他にもたくさんの未知の報告があります)。5月3日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで9人、リベリアで0人、シエラレオネで9人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍感染しやすく、45歳以上の成人では子どもよりも3倍から5倍感染しやすいようです。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネから868名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図3:エボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 6 May 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/164523/1/roadmapsitrep_6May15_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.0MB]