2015年05月15日更新 アメリカ大陸でのジカウイルス感染症への注意喚起

 2015年5月7日付で汎米保健機関(PAHO)よりジカウイルス感染症に対する注意喚起情報が発表されました。

 ジカウイルス感染症は、デング熱、日本脳炎、ウエストナイル脳炎といったウイルスに近い、ジカウイルスによって起こる感染症です。ジカウイルスはヤブ蚊により都会でも田園地帯でも感染伝播します。3日~12日の潜伏期間の後、急性の発熱、非化膿性の結膜炎、頭痛、筋痛、関節痛、脱力、斑点状丘疹、下部肋骨水腫を起こします。頻度は下がりますが、後眼窩痛、食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛を起こします。症状は4-7日間続き、自然に治まります。合併症は滅多に現れません。

 本記事では、その情報より旅行者に関係する情報を抜粋して掲載いたします。さらに詳しい情報については原文をご参照ください。

発生状況

 ジカウイルスは1947年にウガンダのジカの森から発見されました。

 2007年に、ジカウイルス熱の最初の流行がミクロネシアのヤップ島で起こりました。流行は13週間続きが、ヤブ蚊の1種(Aedes hensilii)が媒介することは同定されましたが、蚊からのウイルスは検出されませんでした。

 続いて、2013年10月の終わりからフランス領ポリネシアで流行が起こりました。約1万人の感染が届けられ、70人が重症となりました。媒介はヤブ蚊の1種(Aedes aegyptiAedes polynesiensis)によるものでした。

 2014年には、ニューカレドニアとクック諸島でも患者が報告されました。

 これまでのところ、どの流行においても、ジカウイルス感染による死亡者は出ていません。

 2014年2月、チリの公衆衛生局はイースター島でジカウイルス感染症患者が国内で発生したことを確認しました。それは、太平洋の島々であるフランス領ポリネシア、ニューカレドニア、クック諸島での感染ウイルスと一致しました。ウイルスはその年の6月以降検出されなくなりました。

 現在、ブラジルの公衆衛生当局が国内北東部でのジカウイルスの感染流行の可能性を調査しています。

 最近の異なる地域から報告されるジカ熱の流行発生は、媒介(蚊)がいる地域に、このアルボウイルスが拡がる可能性のあることを示しています。

注意喚起

 アメリカ大陸における媒介生物の広い分布は、この地域と世界とを往来する人々の流動性と結びつき、ジカウイルスがアメリカ大陸で拡がる危険性を示しています。汎米保健機関(PAHO)/WHOは、以前にデング熱やチクングニア熱を同じ媒介生物とみて作成された注意喚起を強化しています。また、これらの疾患を媒介するヤブ蚊属が生息する国々が患者を発見し、確認し、管理することを促進しています。さらに、媒介生物の密度を減らすために効果的に公共の通信を利用する戦略の実行を促しています。

出典

PAHOEpidemiological Alert.Zika virus infection. 7 May 2015
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=30075&lang=en