2015年05月25日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告 (更新4)

2015年の第16週から第18週および第20週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

  • 急性発熱と発疹:[16]マーシャル諸島、[17]ツバル、[18]ナウル、[16,20]パラオ
  • 下痢:[16,17]パラオ、[17]フランス領ポリネシア、[20]トンガ、[20]ニウエ
  • インフルエンザ様疾患:[16]トンガ、[16]アメリカ領サモア、[17,18]ナウル
  • 遷延性発熱:[16,17.18,20]トンガ、[17]ツバル

疾患別の発生状況

チクングニア熱

  • チクングニア熱の流行が、クック諸島、マーシャル諸島で続いています。 [20]キリバス、[18]アメリカ領サモアでの週別患者数は大きく減少してきました。
  • クック諸島:2015年5月17日の週に患者38人、5月3日の週に73人、4月26日の週に50人、4月19日の週には42人が、報告されました。[20] 2014年の11月から5月20日までに患者539人が報告されています。[18]これらの患者のうち、65人(89%:65/73)が首都Rarotonga報告されています。残る患者は外部の3つの島(Rkahanga、Aituaki、Manihiki)からです。[17]4月27日には、ラロトンガでは大規模な駆除キャンペーンが行われました。[16]検体が、フランス領ポリネシアにあるLouis Malarde研究所(ILM)によりRT-PCR法で陽性であると確認されました。
  • マーシャル諸島:今年の2月から5月21日までに患者500人が発生しました。[18]400人のうち326人(80%)が首都Majuroからです。残る患者は外部の島(Ebeye、Aur、Maloelap)からです。

デング熱

  • フィジー:[20]デング熱の流行が北部衛生区域Macuata地方で発生しています。フランス領ポリネシアのILMによってデング熱2型が同定されました。患者数は減少してきています。[17]4月29日の週までに患者543人が確認され、そのうち437人(80%)は北部地域からでした。
  • トンガ:2015年5月17日の週にデング様疾患患者1人、5月3日の週に10人、4月26日の週に7人が報告されました。[20]Labplus(Auckland, NZ)によりデング熱3型が確認されました。患者数は減少してきています。
  • フランス領ポリネシア:2015年5月10日の週に患者25人、4月26日の週に18人、4月19日の週に20人、4月12日の週に110人が報告されました。[20]4月には、患者70人が確認され、重症患者1人を含む16人が入院しました。ILMによってデング熱1型が同定されました。[18]4月の患者の50%以上が16歳未満の患者でした。[16]4月19日の週にデング様疾患患者7人が報告されました。
  • マーシャル諸島:[18]デング熱の確認のためにハワイ州の保健衛生研究所に送られたデング様疾患患者の検体はRT-PCTが陰性でした。[16]迅速検査により3人の陽性患者が報告されました。

ジカウイルス症

ソロモン諸島:[20]流行が続いています。2015年2月から5月10日の週までに患者が308人になりました。週毎の患者数は減ってきています。[17]4月19日の週に患者17人が報告されました。そのうち16人はHoniaraから、1人はGuadalcanalからでした。[20]流行の始まりにフランス領ポリネシアのILMに送られた患者5人が陽性であることが確認されました。

バヌアツ:[20]Angoro(北ペンテコスト)のPenamaからジカウイルス感染症疑いの患者が報告されました。検体が検査のために集められています。[17]ニュージーランドのパスツール研究所により初めてのジカウイルス感染症が確認されました。この患者には海外渡航歴はありません。

レストスピラ症

フランス領ポリネシア:[17]2015年1月から4月19日の週までに63人が報告されました。4月19日の週の週には新たに患者3人が発生しました。1月開始以来、42人のレストスピラ症患者が報告されています。

麻しん

[16]パプア・ニューギニア、バヌアツで麻疹の流行が続いています。パプア・ニューギニアの患者数は減る傾向にあります。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、早目に医療機関を受診してください。
  • また、帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関を受診してください。受診方法については検疫所や保健所でも相談することができます。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

出典