2015年07月09日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第27週)

2015年7月8日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,609人、死亡者数は11,261になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 7月5日までの1週間に、ギニアで18人、リベリアで3人、シエラレオネで9人の合計30人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。これは、5月中旬以降で最も多い週別患者発生数ですが、患者報告と隔離措置を積極的に注意喚起すること促したことにともなう患者調査と接触者追跡の改善状況が、1か月前の患者よりも感染経路に対するより詳しい理解を導いています。同様に、これは感染源が不明の患者の発生割合(7月5日までの週には30人中5人)、特に、これまで問題の多かった地域であるギニアのボケやフォレカリア、シエラレオネのカンビアやポート・ロコでの割合の減少をもたらしました。しかし、重い課題は残されています。感染の影響を受けたいくつかの地域では、対策に対して残存する不信感が、未だに、潜んでいる感染経路のリスクをさらに増加させながら、何人かの患者をあまりにも長く巧みに発見から逃れさせています。フリータウンやコナクリのような都心部の人口密集地域への患者の入り込みはリスクとなっており、リベリアの新たな集団発生の感染源も未だによく判ってはいません。
  • ギニアでは、前週と同じ3県(ボケ、コナクリ、フォレカリア)で、患者が報告されました。ギニアビサウとの国境に近い北部のボケ県では、前週の10人に対して6人が報告されました。これらの患者のうちの1人を除くすべての患者が登録された接触者からでした。残る1人の発生は、まだ感染源が不明と報告されています。コナクリから報告された患者は、Matam(マタム)自治区(地方自治区域)からで、フォレカリア県下のBenty(ベンティ)で発生した以前の患者との接触の確認がとれました。残る11人はフォレカリア県から報告されており、そのうちの9人は県下のベンティから報告されました。11人のうち2人を除いて全員が、以前の患者からの接触者もしくは疫学的なつながりの確認された者でした。
  • リベリアでは、42日間連続して新たな患者が報告されなかったことから、2015年5月9日にエボラ流行の終息が宣言されました。引き続き、国内では3か月の高度な警戒態勢が布かれており、毎日、およそ30本の血液検体や口腔スワブ検体が疑いのある患者から集められ、エボラ出血熱に対する検査が行われてきました。6月29日に、この通常のサーベイランスの中で、Margibi(マージビ)郡からエボラ出血熱の確定患者が発見されました。3月20日以降では、初めての患者です。患者は17歳男性で、6月21日に発症し、28日に死亡しました。連続するエボラ出血熱に対する検査で陽性と判定されました。その後、最初に発見された患者との接触者2人がエボラ出血熱に対して陽性であることが確認されました。これらの新たな患者は、最初に発見された患者と同じ小さな地域の住人で、現在は、首都モンロビアのエボラ治療センターで治療を受けています。さらに、エボラ治療センターでは感染の可能性のある患者1人が隔離されています。この患者は最初に発見された患者と疫学的に強い接触機会があり、エボラ出血熱のいくつかの症状が現れています。現在、これらの患者は5月9日に宣言が出されて以降での独立した集団発生であると考えられています。
  • シエラレオネでは、前週と同じカンビアとポート・ロコおよび首都フリータウンを含む区域の3地域から9人が報告されています。3分の1にあたる3人の患者はフリータウンの人口が密集したMagazine Wharf(マガジン・ワーフ)から発生が報告されました。彼らは全員、以前に患者との接触のあった登録者でした。カンビアの4つのChief(首長)支配地域からエボラ出血熱患者1人ずつが報告されました。また、隣接するポート・ロコの2つのChief(首長)支配地域からもそれぞれ報告されました。これらの患者の1人を除いては、以前の患者からの接触者もしくは疫学的につながりが確認された者でした。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 7月5日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,573人、死亡者は11,246人となりました(その多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)。7月5日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで18人、リベリアで3人、シエラレオネで8人でした。

     

  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。

     

  • 7月5日の週に、新たにシエラレオネのカンビアで医療従事者1人の感染が報告されました。ギニア、リベリア、シエラレオネから875名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、509名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**リベリアでは2015年5月9日に流行の終息が宣言されました。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。現在、2015年5月9日以降に報告された患者数と死亡者数は、5月9日に終息が宣言されたものとは独立した集団発生を構成していると考えられています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年7月5日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:カンビアのMagbema首長支配地域の患者1人、ポート・ロコのMasimera首長支配地域の患者1人の位置は示されていません。使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 8 July 2015.
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files//who_ebola_situation_report_08-07-2015.pdf?ua=1[PDF形式:2.1MB]