2015年07月09日更新 髄膜炎の発生-ニジェール (更新3)

7月8日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、ニジェールの保健省は、2015年1月1日から6月28日までに死亡者573人を含む髄膜炎菌性髄膜炎の疑い患者8,500人をWHOに報告しました。これは、これまで前例のないいくつかの特徴をもつ急速な流行の拡大です。

疑い患者は急増し、2015年5月1日から15日までの2週間で3倍に増えました。これは、アフリカの髄膜炎ベルトのどの国を襲うこともある髄膜炎菌C型によって引き起こされた、初めての大規模な髄膜炎の流行です。

首都を含むニジェール川流域の13地区では、流行の警報レベルを超えました。ニアメでは、人口100万人を越える過密な都市地域の5つ全地区から死亡者260人を含む疑い患者5,267人が発生しました。

発生がピークとなった第19週(5月4-10日)には、死亡者132人を含む患者2,182人が報告されました。その後、感染の発生は減少に向かい、第26週(6月22-28日)には患者は死亡者2人を含む11人となっています。

検査結果からは、感染地域では主に髄膜炎菌C型が確認されていますが、いくつかの患者検体からは髄膜炎菌W型も確認されています。C型は経済的に豊かな国で髄膜炎の主原因菌となっていましたが、アフリカではあまり心配されていませんでした。

公衆衛生における対策

感染の流行を管理するために、すべて国家レベルで感染流行委員会が立ち上げられています。WHOと米国疾病管理予防センター(CDC)のスタッフからなる国際チームが、保健省の流行調査を支援し、国のサーベイランス能力を強化するために配置されました。

WHOと支援者たちは、集団予防接種キャンペーンの実施やそれ以外にも緊急感染制御対策を行うニジェール政府に対し援助を提供しています。GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟/The Global Alliance for Vaccines and Immunization)の財政支援を受けて流行性髄膜炎コントロールのためのワクチン接種対策の国際調整団体(ICG)は、4つのワクチン請求を承認し、A、C、W型に対して保護する古いタイプの多糖体ワクチン46万8,000回分と、ACWYに対処するMencevaxを48万8,500回分、さらに、A、C、W型とY型から保護する新しい包合体ワクチン20万回分を出荷しました。また、ニジェール政府は、マリの政府から多糖体ACWYワクチン20万回分を得ています。

集団予防接種活動に加えて、サーベイランスの強化、地域社会での動員活動、患者の管理が、流行するすべての地域で行われています。このように地域介入を組み合わせることは、感染の流行を制御の方向に導きます。現在、警報もしくは疫学警戒情報が出されている地域はありません。

さらに多くのワクチンの備蓄が必要であることとニジェールにワクチンを提供することによって非感染流行国との連帯を得たことが、この感染流行の管理から学んだ主な教訓です。

出典

Afro/WHO.Disease Outbreak News. 8 July 2015.
Cerebrospinal meningococcal disease outbreak in Niger(Update: 8 July 2015)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4693-cerebrospinal-meningococcal-disease-outbreak-in-niger-update-8-july-2015.html