2015年07月23日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第29週)

2015年7月22日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,741人、死亡者数は11,284になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 7月19日までの1週間に、ギニアで22人、シエラレオネで4人、合計26人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。リベリアからの新たな患者の報告はありませんでした。2週連続して、全患者の半数以上がギニアの首都コナクリと、シエラレオネの首都フリータウンから報告されています。対照的に、ギニアのボケ、シエラレオネのカンビアのように、最近、感染伝播の激しかったほかの地域からは、それぞれに18日間と9日間、患者の報告はありません。最近の数週間にみられる接触者の追跡と患者調査の改善傾向が続いていることが示されています。2人の患者を除いて、ギニアの首都コナクリからの全13人を含む患者全員がこれまでの患者との接触が登録された者の中から発生しています。今回、接触者の中から発生する患者の割合は、流行の開始以降で最も高くなっています。しかし、フリータウンから報告された2人の患者のうちの1人は感染源が不明で、さらなる感染経路が存在する危険性が高いと考えられています。さらに、ギニアからの2人は地域の中での死後の検査でエボラ出血熱への検査で陽性であることが確認されました。
  • ギニアでは、患者はコナクリ、コワイヤ、フォレカリアから報告されました。13人の患者がコナクリから報告されています。全員が2つの感染経路に関係する接触者として登録されていました。これらの患者のうち2人は医療従事者でした。隣接するコワイヤ県で、県下のManeah(マネア)から2人が報告されました。これらは4月にコワイヤで最初の患者が報告されて以来です。2人ともフォレカリアの県下Benty(ベンティ)からつながる感染連鎖に関係する接触登録者でした。フォレカリアから報告された7人のうち6人は同じベンティ感染連鎖と関係する接触登録者でした。残るフォレカリアからの患者は県下のAlassoyahからで、感染源は不明でした。
  • リベリアでは、7月19日の週に新たな患者は報告されませんでした。6月29日以降の確定患者6人のうち、2人が死亡し、2人は治療後に退院しました。残る2人は観察下でエボラ治療センターにいます。7月21日現在、この感染連鎖に関係する接触者56人が健康の監視下にあります。合計18人は21日の監視期間を完了しました。もし、さらなる患者が現れなければ、接触者全員が8月2日には監視期間を完了します。
  • シエラレオネでは、フリータウンとポート・ロコから患者4人が確認されました。フリータウンからの2人のうち1人はエボラ出血熱の検査が陽性と判定された医療従事者で、自発的に隔離施設で過ごしていました。もう1人は市内Magazine Wharf(マガジン・ワーフ)近郊の地域医療施設外で、嘔吐と下痢の症状を伴う進行した状態で発見されました。この街からは、前週、8人の患者が報告されています。しかし、患者はマガジン・ワーフの感染連鎖のどの患者とも接触が登録されていませんでした。患者は固定された住所を持たず、発見前にどの程度の期間を感染力のある状態であったのか不明であるという事実が接触者追跡を複雑なものにしています。シエラレオネの残る2人は、ポート・ロコのChief(首長)支配地域Marampa(マランパ)から報告されました。2人は6月中旬に出産時に死亡したエボラ出血熱陽性の母親とつながる感染連鎖に関係して登録された接触者です。
  • 7月20日に、イタリアは、この国で初めてで唯一のエボラ出血熱患者がエボラ検査で陰性と確認され病院から退院してから患者が発生することなく42日目を迎えたことから、エボラ出血熱の感染からの終息を宣言しました。
  • 7月19日までの1週間に、ギニアから新たに医療従事者2名の感染が、シエラレオネからは1名が報告されました。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから879名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、510名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 7月19日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,705人、死亡者は11,269人となりました(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。7月19日までの1週間に、新たにギニアで22人、シエラレオネで4人の確定患者が報告されました。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 7月19日の週に、ギニアから新たに医療従事者2名、シエラレオネから1名の感染が報告されました。ギニア、リベリア、シエラレオネから879名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、510名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年7月19日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 22 July 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/180741/1/ebolasitrep_22Jul2015_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.1MB]