2015年07月31日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第30週)

 2015年7月29日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,784人、死亡者数は11,294人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 7月26日までの1週間に、ギニアで4人、シエラレオネで3人、合計7人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。これは1年以上を通して最も低い数値で、8週連続して発症患者数が1週間あたり20人から30人で頭打ちになっていた後の出来事です。この発生率の減少傾向は歓迎すべきことですが、これが持続するかどうかを言うのは時期尚早です。過去14日間でギニアとシエラレオネの両方で危険性の高い出来事がいくつか見られており、過去の経験では単一のハイリスク患者や見逃された接触者が新しい集団発生(クラスタ)を引き起こす可能性があります。また、ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、21日の経過観察期間中の接触者がまだ2,000人以上あり、さらなる患者が発生するリスクが相当に残っています。対応の改良により継続した改善がみられ、ここ数週間では以前のどの時期よりも接触者から生じる患者の割合がより高くなり、死後に同定された患者の割合がより低くなっていますが、ハイリスク感染事象の継続的な発生は、今後短期間に患者発生数の増大が起こる可能性を強く示しています。
  • ギニアでは、患者はコナクリ(3人)と近隣のコワイヤ県(1人)の小さな地理的領域に限定されました。大きな県であるフォレカリア県では、今年の始めから広範囲の感染がみられており、まだ700人以上の経過観察中の接触者がいますが、2015年1月から初めて患者の報告がありませんでした。流行が発生して以来初めて、ギニアで報告された患者はすべて登録されていた接触者でした。コナクリの患者の3人すべては、ドゥブレカ県で発生した一連の感染と関係する、登録されていた接触者でした。残りのコワイヤ県の患者は、フォレカリア県で発生した一連の感染と関連する、登録されていた接触者でした。2014年9月以来初めて、EVD陽性地域の死亡者がギニアから報告されませんでした。
  • 7月26日までの1週間で、リベリアでは新規の患者は報告されませんでした。6月29日以来報告されている6人の確定患者のうち、2人は死亡し、残りの4人はすべて現在、治療後に退院しています。リベリアでは現在33人の接触者が経過観察中であり、すべての人は8月2日までに21日間の経過観察を完了する予定です。
  • シエラレオネの3人の確定患者はフリータウン(2人)とトンコリリ(1人)から報告されました。フリータウンの患者は両方とも登録されていた接触者で、発症時はボランティアの隔離施設に居住していて、即座に隔離されました。残りの患者は、この国の中心部にあるフリータウンの東のトンコリリ地区の患者で、さらに感染を広げる危険性が高いと評価されています。この患者は、7月16日にフリータウン周辺にあるマガジンワーフ近くの地域からトンコリリに旅行し、地域の病院で7月23日に死亡しました。この病院で患者は死後の検査でEVD陽性が確認されました。この患者は7月19日から21日の間に少なくとも2つの医療機関を訪れており、500人以上の接触者がこれまでに同定されています。感染源を確定し、すべての接触者を同定して追跡するために、調査は進行中です
  • 7月26日までの1週間で、医療従事者の感染が新たに1人、ギニアのコナクリから報告されました。ギニアでは過去6週中5週において医療従事者の感染が報告されています。シエラレオネでは医療従事者の感染は報告されませんでしたが、トンコリリで患者との接触者として数人が登録されました。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計880人の医療従事者の確定感染者と510人の死亡例が報告されました。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 7月26日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,748人、 死亡者は11,279人となりました(図1と表1)(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。7月26日までの1週間で、新たにギニアで4人、シエラレオネで3人の確定患者が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 7月26日までの1週間に、ギニアのコナクリから新たに医療従事者の感染が1人報告されました。ギニア、リベリア、シエラレオネから880名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、510人が亡くなっています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。***2015年7月23日に、2015年7月17日にシエラレオネのポートロコから報告された1人は疫学的データや検査室データの見直しに従い、エボラ患者ではないと再分類されました。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年7月26日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 29 July 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/181170/1/ebolasitrep29Jul2015_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.2MB]