2015年08月06日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第31週)

 2015年8月5日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,898人、死亡者数は11,296人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 8月2日までの1週間に、ギニアで1人、シエラレオネで1人、合計2人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。これは2014年3月以降に報告された最も少ない週別患者数であり、3回連続で減少傾向を示しています。この減少傾向は、対策の全ての要素で改善を続けたことによって支えられています。特に、接触者追跡と患者発見調査における対応能力の強化は、僅かに残る既知の感染連鎖が数か月前よりもよく理解され、制御されていることを確信させています。まだ、短期・中期的にはさらなる感染伝播と発生患者の増加の大きなリスクが残っているため、数か月先にもこれらの体制を維持しておくことが重要となります。ギニアの5県とシエラレオネの4地区では、まだ約2,000人の接触者が監視下に置かれています。そして、全力を傾けて努力しているにもかかわらず、両国には追跡できないか、追跡中に連絡の取れなくなった少数の接触者がいます。さらに、ギニアとシエラレオネでの最近のハイリスク感染伝播の事例には、今後も数週間はさらなる患者を発生させる大きな可能性があります。
  • 現在も続いている課題を示すと、ギニアで報告された患者は追跡中に連絡の取れなくなった接触者であり、現実には多数の新たなハイリスク接触者を生み出している可能性があります。患者は28歳女性で、首都コナクリのRatoma(ラトマ)地区で数人の患者を発生させた既知の感染連鎖と関係がありました。ここでは数週間前に発生は終息しています。連絡が取れなくなった後、この患者はコナクリから南に下り、フォレカリアを抜けてシエラレオネのカンビアに入りました。彼女は、そこからフォレカレア経由でラトマに帰るときに、何度も伝統的な民間治療師のところに通っています。ギニアとシエラレオネの全ての接触者を確認し追跡するために、集中的に努力が傾けられているところです。ギニアでは西部5県で1,080人の接触者が監視下にあります。その大半(>90%)はコナクリとフォレカリアに居る接触者です。
  • ギニアでの"Ebola ça suffit!" リングワクチン接種(包囲ワクチン接種)試験の中間解析で、治験薬rVSV-ZEBOVエボラワクチンがエボラ出血熱に暴露された人々に予防効果を示したことが示唆されています。ギニアでの試験は、確定患者の近くにおり、直ちにワクチンを受けるべき全ての人々の間で継続される予定です。これまで対象者は、患者が確定診断された後、直ちにワクチン接種を受けるか、21日後に接種を受けるかでランダムに割り当てられました。
  • 8月2日の週に、リベリアから新たな患者は報告されませんでした。接触者は全員が21日間の監視期間を完了しました。最後の患者は7月23日に2度目のエボラ出血熱検査で陰性の結果を得た後、退院となりました。
  • シエラレオネでは、今週、1人の患者が報告されました。この患者は、先週Tonkolili(トンコリリ)から報告された患者(初発患者)との接触者600人のうちの1人です。新たな患者は、最初の患者を世話していた家族の1人です。最初の患者と彼らとの接触の特徴から、40人以上の接触者が高い感染リスクを持つと考えられており、高い確率でさらなる患者が発生するとみられています。最初の患者はトンコリリに旅行する前にフリータウンで感染したと考えられており、現在も感染源についての調査が継続されています。この国では811人の接触者がいまも監視下にいて、そのほとんどがトンコリリに居ます。カンビアでは、8月2日の週にギニアのラトマから報告された患者に関係する全ての接触者の確認が集中的に行われていますが、既知の感染連鎖に関係する全ての接触者は21日間の監視期間を完了しました。
  • この3週間で初めて、感染の影響を受けたどの国からも医療従事者の感染は報告されませんでした。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計880名の医療従事者の確定感染者が報告されました。そのうち512名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 8月2日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,862人、死亡者が11,281人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。8月2日までの1週間に、新たにギニアで1人、シエラレオネでも1人の確定患者が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 8月2日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されませんでした。ギニア、リベリア、シエラレオネから880名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、512名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年8月2日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 5 August 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/181534/1/ebolasitrep5Aug2015_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.0MB]