2015年08月13日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第32週)

 2015年8月12日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,965人、死亡者数は11,298人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 8月9日までの1週間に、ギニアで2人、シエラレオネで1人、合計3人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。確認調査の中にシエラレオネのトンコリリでの確定患者1人が追加されたため、前週(8月2日の週)の確定患者数の合計が2人から3人に改訂されました。患者発生数は3週続けて10人を下回りました。しかし、短期および中期では、さらなる感染伝播や患者発生数の増加が起こる深刻なリスクは残っています。8月9日の週に報告された3人のうちの1人は接触登録者でした。しかし、追跡中に連絡が取れなくなり、コナクリのいくつもの医療施設で複数のハイリスク接触者を生み出しました。ギニアのフォレカリア県下.Moussayahでは安全性を欠いた埋葬につながる可能性のある確定患者が死後検査で発見され、地域社会では見つけられないままの感染伝播が存在する可能性を示唆しています。さらに、シエラレオネの首都フリータウンでの新たな確定患者は、たくさんのハイリスク接触者を生み出しました。ギニアの4県とシエラレオネの2地区にわたり、1,600人を超える接触者が観察下にいます。前週は5県と4地区で1,800人以上が観察下にいました。
  • 8月9日の週にギニアで報告された2人の患者のうち、1人は感染源が判らず、もう一人は追跡中に連絡が取れなくなった接触者でした。フォレカリアから報告された患者は、県下Moussayahで、地域内で死亡した患者の死後検査から発見されました。簡易調査では、この患者は、エボラ出血熱に当てはまる症状で死亡したとみられる家族の安全性を欠いた埋葬に参加していたことが示唆されています。もう一人の患者は、首都コナクリの.Ratoma(ラトマ)地区から報告されました。この患者は既知の感染連鎖の接触登録者でした。しかし、追跡中に連絡が取れなくなり、症状が現れエボラ出血熱と確認されるまでに、コナクリ中のいくつもの医療施設を受診していました。ギニアでは西部4県で927人の接触者が監視下にいます。前週は5県で1,080人でした。接触者の半数以上(55%)がフォレカリアに居り、40%はコナクリに居ます。
  • リベリアでは、8月9日の週に新たな患者の報告はありません。リベリアでは、全ての接触者が21日間の監視期間を完了しました。リベリアで最後のエボラ出血熱患者2人は、治療を終え、7月23日に2回目のエボラ出血熱検査での陰性結果を得て退院しました。
  • シエラレオネでは、唯一の患者がフリータウン(西部都市地区)から報告されました。西部都市地区の感染連鎖の一部に関係していました。患者は8月4日に発症した8か月の女児で、発熱、嘔吐、下痢のため、8月6日にフリータウンのOla During小児病院に入院しました。これまでに、29人のハイリスク接触者が確認され、このうちの24人は自発的に隔離下にいます。シエラレオネでは、合計694人の接触者が監視下にいます。前週は811人でした。接触者の大半にあたる638人は.Tonkolili(トンコリリ)(7月26日末の週に報告された患者に関係)に居り、残る56人はフリータウンに居ます。
  • 2週連続して、感染の影響を受けたどの国からも医療従事者の感染は報告されませんでした。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計880名の医療従事者の確定感染者が報告されました。そのうち512名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 8月9日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,929人、死亡者が11,283人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。8月9日までの1週間に、新たにギニアで2人、シエラレオネで1人の確定患者が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 8月9日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されませんでした。ギニア、リベリア、シエラレオネから880名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、512名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。***確認調査で、トンコリリでの患者1人が2015年8月2日付で報告されました。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年8月9日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 12 August 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/182071/1/ebolasitrep_12Aug2015_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.4MB]