2015年09月08日更新 ペストの発生-マダガスカル
2015年9月6日に公表されたWHOの情報によりますと、マダガスカルの保健省はペストの集団発生を報告しました。
最初の患者はMoramanga(ムラマンガ)地区郊外の街で8月17日に発見されました。患者は8月19日に死亡しました。8月30日までに14人のペスト患者が確認され、そのうち10人の死亡が報告されています。患者は全員が肺炎(肺ペスト)を発症しています。8月27日以降、感染地区および近隣地区から新たな患者の報告はありません。
公衆衛生上の対策
国の特別対策本部が、流行を制御するために設置されています。WHO、マダガスカルのパスツール研究所など、加盟団体からの支援を得て、マダガスカル政府は、積極的な患者と接触者の発見、予防的化学療法薬の提供、患者と接触者の管理、疫学調査の強化、感染予防と管理(家屋の消毒)、媒介動物の制御活動、地域活動員の導入、協力体制、人的・物的資源の導入など、の徹底した公衆衛生対策を実施しています。
WHOのリスクアセスメント
WHOは、現在利用できる情報からは、いかなる渡航および貿易の制限も推奨していません。アンタナナリボなどの都市部では、予防的に媒介動物を制御する活動を実施するために、流行のリスク指標の調査が強く推奨されています。
背景
ペストは、主に野生の齧歯類に感染するペスト菌(Yersinia pestis)が起こす細菌感染症です。ノミよって齧歯類に次々と広がります。ペスト菌をもったノミに人が咬まれると、通常、鼠径部の腫れ(リンパ節の腫脹)を特徴とする腺ペストとなります。細菌が肺に到達すると、患者は肺炎(肺ペスト)を発症し、細菌を含む飛沫が咳によって飛ばされて、人から人へ直接感染します。腺ペストは、早期に診断されれば抗生物質での治療で効果があります。一方、肺ペストは最も致死率の高い疾患の一つです。患者は感染後24時間で死に至る可能性があります。死亡率は治療を開始するまでの速さにかかってきますが、それが分かっていても死亡率は非常に高いです。
現在の流行は、マダガスカルで2014年11月をピークに2014年から2015年にかけて発生し、335人を超える患者と79人の死亡者が報告された別のペスト流行から続くものです。
◆感染症情報:ペスト
出典
WHO, Global Alert and Response(GAR)
Plague-Madagascar. 6September2015
http://www.who.int/csr/don/06-september-2015-plague/en/