2015年09月10日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第36週)

 2015年9月9日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は28,183人、死亡者数は11,306人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 9月6日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者2人が報告されました。ギニアから1人、シエラレオネから1人です。全体の傾向として、患者発生数は6週間連続で確定患者2-3人で安定しています。感染力を保つ3つの感染源からの連鎖があります。2つはギニアのコナクリ市内と郊外、もうひとつはシエラレオネのカンビアの西部地区です。ギニアのフォレカリアの感染連鎖で残っていた接触者は、全員が9月6日の週までに観察期間を完了しました。さらに、リベリアでは、2015年9月3日に、2度目の人に対するエボラウイルス流行の終息が宣言されました。この日は、Margibi(マージビ)で発生した感染に関係するこの国で最後の確定診断患者が治療を完了し、エボラ出血熱検査の陰性が確認されてから42日になります。現在、リベリアは90日間の高度警戒の調査活動に入っています。ギニアとシエラレオネで観察下にある接触者の総数は、8月30日時点での約450人から9月6日時点での約1,300人に増えました。この増加は、前週(8月30日の週)末にシエラレオネのカンビアから報告された1人のハイリスクの地域での死亡者が大きく関係しています。9月6日の週に報告された2人の患者は、過去2週間に、ギニアのコナクリとシエラレオネのカンビアの同じ地域で以前に発生した患者と関係する登録接触者でした。ギニアから報告された患者はさらに高い感染伝播のリスクがあると考えられています。これらのハイリスクの患者による結果として、短期的には患者発生数が増加するリスクは残っています。
  • 9月6日の週にギニアから報告された確定患者は、首都コナクリのRatoma(ラトマ)地区で発症しました。患者は、13歳女児で、接触者として登録されており、この2週間に市内の同じ地域で報告された2人の患者の親せきです。彼女は、初発症状が現れた後、しばらく連絡が取れなくなっていたために、さらに高い感染伝播のリスクがあると考えられています。その後、彼女はいくつかの個人診療所に現れました。追跡調査とエボラ出血熱の検査が行われ、エボラ治療センターに入院となる前に症状が発現していました。9月6日時点で観察下にある292人の接触者は、隣接する2県のコナクリで266人、ドゥブレカで26人です。フォレカリア県で最後に残っていた接触者らは9月6日の週に観察期間を完了しました。
  • シエラレオネでは、9月6日の週に新たに確定患者1人が報告されました。この患者は前週(8月30日の週)にカンビアから報告されたハイリスク患者の娘です。前週の患者は60歳代の女性で、Tonko Limba(トンコリンバ)首長支配地区Sella Kafta村で死後のエボラ検査によって発見されました。この新たな患者は、母親が病気の間に母親を看病しており、ハイリスクの接触者であったことから発見されました。感染連鎖に関係すると定義づけられる接触者が900人を超えています。但し、これらの接触者の大半は接触機会の可能性からではなく、地理的な近接度から定義づけられているもので、リスクはかなり低いとみられています。しかし、現在も確認された40人のハイリスク接触者からは、さらなる患者の発生が予想されています。60歳代女性の感染源は現在も調査中です。
  • 9月6日の週に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計881名の医療従事者の確定感染者が報告されました。そのうち513名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 9月6日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,141人、死亡者が11,291人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。9月6日までの1週間に、ギニアで新たな確定患者1人、シエラレオネで確定患者1人が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 9月6日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、513名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。リベリアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年9月3日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査活動に入っています。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年9月6日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 9September2015
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/184271/1/ebolasitrep_9Sept2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1,979KB]