2015年09月29日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告 (更新8)
2015年の第34-35週および第37-38週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。
- 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
- 註2:[ ]の数字は報告週です。
太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。
- 急性発熱と発疹: [35]パラオ、[37]ツバル
- 下痢:[34-35,37-38]フランス領ポリネシア、[35,37]キリバス、[35]トンガ、[37]グアム、[37] トケラウ、[37]バヌアツ
- インフルエンザ様疾患: [34]ミクロネシア連邦、[34]ナウル、[34-35,37]ニュージーランド、[34]トケラウ、[34-35,37]トンガ、[35]ナウル、[35]ニューカレドニア、[35]ソロモン諸島、[37]グアム、[37-38]北マリアナ諸島
- 遷延性発熱: [34-35,37]トンガ、[37]ツバル
疾患別の発生状況
急性発熱と発疹
ツバル
[37]関節痛を伴う急性発熱と発疹の患者が増加しています。確認検査のために検査検体がフランス領ポリネシアにあるLouis Malarde(ILM)研究所に送られました。
下痢
バヌアツ
[38]タンナ島の深刻な干ばつに伴い、重症の下痢症が幼児の死亡を引き起こしています。タンナ島は、今年初めにサイクロン・パムによる最も激しい被害を被った島のひとつで、深刻な食糧不足と干ばつに直面しています。この2週間、下痢症患者の増加が国の症候サーベイランスで報告されています。
フランス領ポリネシア
[38]下痢症の流行が続いていますが、9月20日の週には患者の減少傾向が報告されました。感染流行の早い段階でロタウイルスが検出されました。[35] 5か月と7か月の患児が死亡しました。8月30日の週には患者の47%が4歳以下の子どもでした。
キリバス
[37]2015年8月24日から9月11日までに、死亡者2人を含む下痢症患者1,338人が集団発生しました。
チクングニア熱
マーシャル諸島
[35]8月30日の週に新たに患者4人が確認され、2015年2月の流行発生からの患者数は1,314人となりました。
クック諸島
[34]2014年10月以降、782人の患者が報告されています。8月23日の週にも新たに患者1人が追加されています。
デング熱
アメリカ領サモア
[38]2015年5月以降、9月22日までに、前週の11人の新たな患者を含めて422人が報告されました。毎週の患者数は減ってきています。デング熱3型の流行が確認されました。[37]9月13日の週には新たな患者7人が報告されました。[35] 9月2日まででは、患者数は370人でした。このうち、133人が入院しています。[34]さらなる死亡者は報告されていません。
サモア
[37] デング熱3型の患者は減少の傾向にあります。[34]2015年8月21日までの10週間で患者471人が報告されました。15人が入院し、12歳以下の4人の子どもが重症のデング熱となりました。死亡者は報告されていません。
ジカウイルス熱
サモア
[37] フランス領ポリネシアのILM研究所に送られた25人の検体のうち1人の検体からジカウイルスが確認されました。
百日咳
フランス領ポリネシア
[37]2015年8月30日の週までに、確定患者5人が報告されました。8月30日の週に報告された最も新しい患者は2か月の乳児です。
髄膜炎菌血症
フィジー
[35]2015年8月30日の週に、髄膜炎菌血症の疑似患者3人が発生しました。患者は同一家族の兄弟です。患者は全員が、小児集中治療室に入院しました。そのうち1人は病気のために死亡しました。さらなる疑似症患者の報告はありません。
ポリオ、麻しん、風しんワクチン
パプアニューギニア
世界からのポリオや麻しんの撲滅を加速させ、これらの病気の再出現を防ぐために、パプアニューギニアの首相は、同国の定期予防接種プログラムの中に注射不活化ポリオワクチン(IPV)および麻疹風疹ワクチン(MR)の導入を開始しました。PNGは2009年にポリオを根絶しましたが、ポリオの流行国から感染輸入される可能性はあります。最近、麻しんが再度出現し、主に子供たちの3000人以上が感染しました。
心配な場合には早めの受診を
- 海外で発熱などの症状が出たら、早目に医療機関を受診してください。
- また、帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関を受診してください。受診方法については検疫所や保健所でも相談することができます。
- 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
出典
- Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 38, ending 20 September, 2015
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-20-September-2015/en/ - Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 37, ending 13 September, 2015
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-13-September-2015/en/ - Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 35, ending 30 August, 2015
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-30-August-2015/en/ - Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 34, ending 23 August, 2015
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-23-August-2015/en/