2015年10月08日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第40週)

2015年10月7日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。これまでのエボラ出血熱の総患者数は28,457人、死亡者数は11,312人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 10月4日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者の報告はありません。一週間を通して確定患者がゼロで経過することは2014年3月以降で初めてのことです。シエラレオネの接触者は全員が観察期間を完了しました。しかし、ギニアでは、まだ500人以上の接触者が観察期間を残しており、ギニアとシエラレオネで活動性のある感染連鎖に関係した最近の何人かのハイリスク接触者とは連絡が取れなくなっています。
  • 患者発生数は11週連続して10人を下回りました。この間に、ウイルスの感染伝播は地理的にギニアとシエラレオネの僅かな狭い地域に絞られてきました。現況は明らかに第3期に移行しています。エボラ出血熱に対する政府官庁間の協力体制の調整が図られ、第3期の取り組みが洗練されたものとなれば、患者発生数はゼロへと向かい、エボラ出血熱の流行は収束を維持することが保証されるでしょう。(感染伝播に活動性のある地域やウイルスを保有した動物宿主からの)ウイルスの再侵入や生存者からウイルスの再出現を早期に発見するためのさらなる対応能力、生存者の快適な生活を守る包括パッケージの一部としての検査やカウンセリングの対応能力が、第3期の対策における枠組みの中心となります。
  • ギニアの3つの県(コナクリ、コワイヤ、フォレカリア)では合計509人の接触者が観察下にあります。接触者は全員が首都コナクリのラトマ地区を中心とした単一の感染連鎖に関係しています。また、ギニアの4県(コナクリ、コワイヤ、ドゥブレカ、フォレカリア)で過去42日間に追跡不能とされた接触者が約290人確認されました。ギニアのフォレカリア県下のKaliah(カリア)の2つの村で9月26日と27日に報告された最近の患者4人は、ラトマに関連する感染の可能性の高い患者との接触をもつ未登録者による感染でした。連絡の取れない接触者がもたらすいくつかのリスクを減らすために、10月4日までの週に、コナクリのDixinn地区とラトマ地区およびフォレカリア県下のカリアのいくつもの村々で、患者発見のための何件もの戸別訪問作戦が行われました。
  • シエラレオネでは、3週連続して確定患者は報告されていません。ボンバリとカンビアでは2つの活動性のあるこの地域での最近の感染連鎖に関連する接触者全員が21日の観察期間を終えました。また、治療を受けた最後の患者は9月26日にカンビアのエボラ治療センターを退院しました。しかし、ボンバリとカンビアではハイリスク接触者1人ずつとの連絡が取れなくなっています。これらの追跡不能となった接触者との連絡や未発見の感染源からのリスク軽減への努力が、それぞれの地域の最後の患者が報告されてから少なくとも42日間が過ぎるまでは続けられます。
  • 厳重な調査活動への取り組みが、現在は感染の影響を受けていない地域でのエボラ出血熱の再侵入や再出現を早期に確実に発見するために重要です。ギニアでは、10月4日の週に合計725検体が8つの稼働する検査室で検査されました。収集された検体の地理の分布を分析すると、ギニア34県のうち20県では1週間以上エボラ出血熱が疑われる患者もしくは遺体からの検体収集がないことが示されました。リベリアでは、10月4日の週に全15地域(100%)から928検体が集められ、稼働している4つの検査室で検査されました。同じ期間に、シエラレオネでは全14地域(100%)から1,738検体が集められ、稼働する検査室10か所で検査されました。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 流行の勃発以降、10月4日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,421人、死亡者が11,297人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。10月4日までの1週間に、新たな患者の報告はありません。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。45歳以上の成人ではギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
  • 10月4日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、513名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。リベリアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年9月3日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査活動に入っています。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年10月4日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO. Situation reports: Ebola response roadmapSituation report. 7 October 2015
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files//who_ebola_situation_report_07-10-2015.pdf?ua=1[PDF形式:2,206KB]