2015年10月20日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新11)

2015年10月19日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は10月14日に、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者2人を新たに確定検査で確認したことをWHOに報告しました。

症例の詳細情報

患者は55歳女性と53歳男性で、それぞれに9月18日と21日に発症しました。両患者はともに家禽とその生肉市場と接触の機会があります。患者間で疫学的なつながりは報告されていません。患者は浙江省の2つの市政機関(湖州市と金華市)から報告されました。

中国政府は以下のサーベイランスと感染制御対策をとっています

  1. 1.発生サーベイランスおよび発生状況の分析の強化
  2. 2.治療における医学的な全ての努力の強化
  3. 3.住民とのリスク情報の交換と情報の普及の実施

WHOは、最新の情報に基づいて疫学的な発生状況を評価しながら、さらなるリスク評価に努めています。これまでに集められた情報に基づけば、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの公衆衛生上のリスクは全体として変わりありません。

2015年6月に、国際連合食糧農業機関(FAO)は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが保持されており、動物においては中国の複数の省でこのウイルスの検出が続いていることを報告しました。人における感染者のパターンが前年に見られる傾向を辿った場合、今後数ヶ月にわたって患者数が増える可能性があります。また、鳥インフルエンザA(H7N9)感染者は、今後も周辺地域で散発的に発生することが予想されます。もし、流行地域から国境を越えて旅行する者がいれば、旅行中又はその到着後に他の国で感染者が発見されるかもしれません。このような事例が発生しても、このウイルスは、簡単に人から人への直接感染を起こす能力はなく、地域レベルで感染が拡がるとは考えられていません。

WHOからのアドバイス

WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。

WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

WHOは、国際保健規則(2005)に基づき、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、慎重に通常と異なる傾向がみられた症例については検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民の健康に備える活動を続けていくことを求めています。

中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所にご相談ください。

出典