2015年11月02日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告 (更新9)

2015年の第39-43週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

  • 急性発熱と発疹:フランス領ポリネシア[39]、パラオ[39,41]、ツバル[39,42] 、バヌアツ[42,43]
  • 下痢:クック諸島[40,41,42]、ミクロネシア連邦[43]、マーシャル諸島[43]、キリバス[41]、トンガ[41]、グアム[40]
  • インフルエンザ様疾患: トンガ[39,40、42]、ナウル[39-43]、ニューカレドニア[39]、グアム[39,40,42]、キリバス[41]、ミクロネシア連邦[43]、マーシャル諸島[43]
  • 遷延性発熱:ツバル[39] 、トンガ[42]

疾患別の発生状況

チクングニア熱

マーシャル諸島

2015年10月25日現在、 2月の流行発生からの患者数は1,345人となりました[43]。週を追って患者数は減ってきています[43,40]。9月の患者数は3人でした[40]。

 

ツバル

感染の発生が続いています[43,42]。フランス領ポリネシアのILM研究所によって確認されました[43,42]。PCR検査によって、37検体のうち9検体がチクングニア熱に陽性となりました[41]。

デング熱

アメリカ領サモア

2015年10月18日現在、患者454人が報告され、そのうち145人が入院しました[42]。デング熱3型の流行が確認されていますが、患者数は減少傾向にあります[43,42,41,39]。

 

フランス領ポリネシア

デング熱1型の流行が確認されました[43,42,41,40]。9月には重症患者1人を含む10人が入院しました[43、41]。10月11日の週には23人[42]、10月4日の週には25人[41]、9月30日の週には26人[40]の患者が報告されています。

 

サモア

2015年6月11日以降、9月27日までに773人の患者が報告され、報告週の前週にも13人の患者が報告されました[39]。フランス領ポリネシアのILM研究所によってデング熱3型の流行が確認されていますが、患者数は減少傾向にあります[39]。

インフルエンザ様疾患

ミクロネシア連邦

10歳以下の子どもが患者の大半を占める患者数の増加が報告されています[43]。

 

ナウル

インフルエンザAとインフルエンザBの流行が確認されており、5歳以下の患者が90%を占めています[42]。

麻しん、急性発熱と発疹

バヌアツ

フィジーの感染症・公衆衛生研究所によって8検体中3検体から麻しんの陽性が確認されました[42]。患者はShefa地域からで、年齢は4歳、5歳、29歳です[42]。

 

ツバル

発疹を伴う急性発熱患者が増加しています。原因が調べられています[39]。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、早目に医療機関を受診してください。
  • また、帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関を受診してください。受診方法については検疫所や保健所でも相談することができます。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

出典