2015年11月19日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第46週)

2015年11月18日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。これまでのエボラ出血熱の総患者数は28,634人、死亡者数は11,314人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 11月15日の週に、ギニアからはエボラ出血熱確定患者は報告されていません。ギニアからの最も新しい患者は10月29日に報告されています。この患者はエボラ治療センターで生まれた新生児で、分娩は医療スタッフの完全な個人防護具装着の下に行われました。このため、この患者に関連する接触者はなく、これまでの患者に関連した接触者も全員が21日の観察期間を完了しました。11月16日には、この新生児からの連続した2回の血液検査で陰性結果が得られています。
  • 11月7日に、WHOはシエラレオネでエボラ出血熱の流行が終息したことを宣言しました。現在、この国は、2016年2月5日に終結するスケジュールで、90日間の高度警戒で行われる調査体制に入っています。リベリアとシエラレオネは、現在、第3期感染対策の目的の一つを達成しました。その目的とは、エボラ出血熱の感染伝播において、残った感染経路をすべて断ち切るということです。
  • 現状では、感染の影響を受けていない地域におけるエボラ出血熱の再侵入や再出現を早期に確実に発見するために、厳重な調査活動への取り組みが重要となります。これは、第3期感染対策の2つ目の目的の達成の軸となります。そのために、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、医療従事者と公的な役員にはエボラ出血熱との関連が疑われる病気や死亡、何れの場合の報告も届くように調査体制が図られています。11月15日の週に、ギニアでは34県全てから、このような警戒情報26,493件が報告されました。リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、11月8日の週(利用可能な最新の週)に、14のうちの14地域から警戒情報1,496件が報告されました。
  • 各国のエボラ出血熱サーベイランス戦略の一環としては、エボラ出血熱に一致する臨床症状をもっている又はもっていたすべての患者または死亡者から、血液サンプルまたは経口スワブが収集されることが必要です。ギニアでは、11月15日の週に34県のうち14県から合計587検体が稼働する9つの検査室で新たに、又繰り返し検査されました。ギニアで検査された全ての検体のうち91%は遺体から採取された口腔内スワブ検体でした。対照的に、同じ期間に、リベリアでは757検体が新たに、又繰り返し検査されたが、その85%は生きている患者から集められました。また、リベリアでは検体が15郡すべてから集められ、国内で稼働する検査室4か所で検査されました。シエラレオネでは、14地域全てから新たに1,164検体が集められ、稼働する検査室9か所で検査されました。これは2015年に報告された最小の検体数です。シエラレオネの検体の93%は、遺体の口腔内スワブから集められました。
  • ギニアからは、11月15日に週に、地域(病院外)において463人の死亡が報告されました。これは、人口と1,000人あたりの年間死亡数11人に基づいて概算される死亡数2,248人の約21%に相当します。報告された463件の死亡のうち、1件を除くすべてが安全に埋葬されていました。リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、11月8日の週(利用可能な最新の週)までに、地域(病院外)において1,332人の死亡が警戒情報システムを通じて報告されました。これは、人口と1,000人あたりの年間死亡数17人に基づいて概算される死亡数2,075人の約64%に相当します。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。リベリアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年9月3日に宣言され、現在、高度警戒の調査体制に入っています。

第3期の感染対策の骨格

エボラ出血熱の大流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから死亡者11,299人を含む患者28,598人(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が報告されてきました。これらの患者や死亡者の大部分は2014年8月から12月までに報告されました。その後3か国では、治療、隔離および安全な埋葬への対応能力に対して迅速に規模を拡大し、その結果、患者発生数が減少傾向に転じました。この迅速な規模の拡大活動は、感染対策の第1期として知られ、調査活動、接触者の追跡、および地域社会の参加した介入活動への継続的な改善に基づいて、2015年前半早期までに確立されました。第2期と呼ばれる期間では、7月末までに患者発生数を週5人以下にすることに成功しました。この患者発生数の顕著な減少は、流行における第3期への明確な移行の合図となりました。この第3期は、ウイルスを持続的に保有する動物からのエボラ出血熱の再出現という重要性の高い事態が起こる可能性は低いことも踏まえて、感染伝播が地理的に小さな地域に限定されることで特徴づけられます。残存する感染連鎖の経路を効果的に断ち切り、ウイルスを持続的に保有する動物のリスクを管理するために、WHOは、エボラ感染対策の政府官庁間の協力体制と国内および国際的な加盟国との連携をとる先導的な役割として、第3期のエボラ感染対策の骨格を立てました。第3期のエボラ感染対策の骨格は、第1期と第2期の基礎の上に、エボラの感染制御の中で、ワクチンおよび迅速な感染対応チームから生存者のためのカウンセリングや福祉サービスに至るまでの新たな展開を組み込むことに立脚します。

  • 第3期のエボラ感染対策の骨格には、これまでに構築されてきた細かな対策の進行状況の下に、以下の2つの目標の達成に向けられています。
  • 目標1:残存するエボラ出血熱の感染伝播の経路の連鎖を速やかに断ち切ること
  • 目標2:社会的に重要な残存するエボラ出血熱のリスクを管理し対策を立てること

出典

WHO. Situation reports: Ebola response roadmapSituation report. 18 November 2015
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/195839/1/ebolasitrep_18Nov2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1,803KB]