2016年01月05日更新 鳥インフルエンザA(H5N6)の発生状況
2016年1月4日付けで公表されたWHOの情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は2015年12月30日から2016年1月2日までの間に鳥インフルエンザA(H5N6)の感染者2人を検査で確認したことをWHOに報告しました。
症例の詳細情報
- 1.26歳女性、Shenzhen(深セン)市Baoan地方の住民で、2015年12月24日に発症しました。患者は12月27日に入院し、現在は重篤な容態です。
- 2.40歳女性、Zhaoqing(肇慶)市Duanzhou地方の住民で、2015年12月22日に発症しました。患者は12月28日に入院し、現在は重篤な容態です。
中国政府の対応
中国政府は、以下のようなサーベイランスと対策をとっています。
- 患者の治療に全力を尽くすとともに、患者から検体を採取し検査すること、およびウイルスの分離と遺伝子の全配列の決定および比較を行うこと
- 患者との接触者の追跡、患者の管理および濃厚接触者の観察といった疫学調査の実施
- 病因不明の肺炎の調査とインフルエンザの定点観測調査の強化とインフルエンザ/鳥インフルエンザウイルスの病原監視の強化
WHOによるリスク評価
WHOは鳥インフルエンザA(H5N6)の発生状況の厳重な監視とリスク評価を続けています。これまでのところ、鳥インフルエンザA(H5N6)に対する全体的なリスク評価は変わっていません。
WHOからのアドバイス
WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物体との接触を避けるよう助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を維持すべきです。
WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨していません。鳥インフルエンザが懸念される地域の渡航中や帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、必ず鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考えるべきです。
WHOは、国際保健規則(2005)に基づいて患者の感染報告を確実に実行するために、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を続け、通常と異なる傾向がみられた症例については慎重に検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民の健康のための準備活動を続けていくことを求めています。
中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には、検疫所にご相談ください。
出典
WHO.Global Alert and Response(GAR).Disease Outbreak News. 4 January 2016
Human infection with avian influenza A(H5N6) virus - China.
http://www.who.int/csr/don/4-january-2016-avian-influenza-china/en/