2016年01月21日更新 ジカウイルス発生状況について -ボリビア
2016年1月20日付けで公表されたWHOの情報によりますと、1月16日にボリビア保健省は、国際保健規約(IHR)国家担当者を通じて、この国で初めてのジカウイルス国内感染患者が検査で確認されたことを報告しました。
患者は、32歳の妊娠女性、サンタクルス県ポルタチュエロ(Portachuelo)の住民で、1月8日に発症しました。彼女には、最近の渡航歴はありません。
1月12日に、患者の検体は、検査のために国立熱帯病センターに送られました。1月14日に、患者は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査(ウイルス・ゲノムの検出)によって確認されました。
公衆衛生上の取り組み
ボリビアの保健当局は、以下の対策を取っています。
- 調査活動の強化
- 媒介昆虫を制御する対策の実施
- ジカウイルスに関するリスクについて国民の教育と、蚊に刺されることに対するあらゆる予防対策を取ることの奨励
WHOからのアドバイス
人の居住地での媒介蚊が繁殖する地の近くは、ジカウイルス感染に対して大きな危険因子となります。感染の予防と制御は、感染源の削減(繁殖地の除去および環境改善)を通して媒介蚊の繁殖を減らすことと、媒介蚊と人との接触機会を減らすことに依存します。これらは、自然及び人工の貯水池での蚊の幼虫の生息地の数を減らし、リスクのある地域での蚊の成虫個体数を減らし、防虫剤、網戸、戸や窓の遮断、長袖の衣服の着用などの防御を行うことで、達成することができます。ネッタイシマカおよびヒトスジシマカなどのヤブカ属(感染伝播において主となる媒介昆虫)は日中に活動するため、昼寝をしている人、特に幼児、病人および高齢者に対して保護のために殺虫剤で処理された蚊帳を使用すべきことが勧められています。蚊取り線香やその他の噴霧式殺虫剤も蚊に刺される可能性を減らすことができます。
感染流行の発生中は、飛来する蚊を殺すために殺虫剤の空中散布がWHOによって作成された技術要綱にしたがって実施されることがあります。技術的に記載されている場合には、(WHOの農薬評価事業計画による推奨の)適正な殺虫剤が比較的大きな貯水容器を処理するための幼虫の殺虫剤として使用されることもあります。
危険性の高い地域を旅行する人々、特に妊娠中の女性では、防蚊対策への基本的な注意が払われるべきです。これらには、明るい色の、長袖の上下衣服の着用、防虫剤の使用、確実に蚊が部屋は入るのを防ぐための網戸の設置などがあります。
WHOは、現在利用できる情報に基づく限り、ボリビアへの旅行や貿易への制限は推奨していません。
ボリビアなどジカウイルス熱が流行している地域へ渡航または滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないように対策をとってください。
蚊に刺されないための対策
- 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
- 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
- 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
- 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。
心配な場合には早めの受診を
- 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
- また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
- 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
出典
WHO.Emergencies preparedness, response.Disease Outbreak News. 20 January 2016
Zika virus infection- Bolivia
http://www.who.int/csr/don/20-january-2016-zika-bolivia/en/