2016年01月22日更新 エボラ出血熱終息に向けた状況レポート (更新2)

2016年1月20日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。シエラレオネで新たにエボラ出血熱による死亡者が発見されたため、総患者数は28,638人、死亡者数は11,316人となりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • シエラレオネでは、2014年からの西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行における人から人への感染伝播は、2015年11月7日に終息が宣言されていました。その後、感染経路の見逃し、宿主動物からの再導入、感染伝播が進行中の地域からの感染流入、回復者で持続保持されているウイルスの再出現など、結果として起きる可能性のある患者のさらなる拡大を速やかに確実に発見するために、この国は現在90日間の強化監視期間に入りました。1月14日、90日間の強化監視期間の68日目に、シエラレオネでは、死亡した22歳女性から採取された死後スワブ検体でエボラ出血熱に対する検査で陽性が示されたことから、エボラ出血熱の新たな確定患者が報告されました。彼女は、Tonkolili(トンコリリ)地方Magburaka(マグブラカ)の街の自宅で、1月12日に死亡し、安全への配慮のなく埋葬されました。彼女は、2週間前、学校のあったポート・ロコから、Kambia(カンビア)地方とBombali(ボンバリ)地方を経由して、マグブラカまでを旅行し、1月7日に到着しました。報告では、彼女は旅行中に嘔吐と下痢の症状があったことが述べられています。シエラレオネの保健衛生省(MoHS)は、WHOや加盟団体の支援を受けて、約150人の接触者を識別し、この新たな患者について速やかに対応しました。このうち約50人はハイリスクとみられています。接触者および接触者に対する接触者へのワクチン接種が、シエラレオネ保健衛生省の職権と協力の下で進められています。しかし、2週間前から死亡するまでに彼女は長距離の旅行行程を経ていること、彼女がそこまでに症状を現していること、その後に医療従事者が個人用保護具(P​​PE)を使用することなく接した医療施設から退院していること、彼女が病気でありながら家族と密に過ごした期間があること、安全への配慮のなく埋葬が行われたことは、さらなる感染伝播に対する重大なリスクがあることを示しています。トンコリリの接触者1人が、まだ、追跡できずにいます。感染源は調査している段階です。
  • リベリアでの最近の集団感染における人から人への伝播は、2016年1月14日に終息が宣言されました。ギニアでは、2015年12月29日に終息が宣言され、現在は2016年3月27日に終了予定の90日間の強化監視期間に入っています。
  • WHOと加盟団体からの指導により、ギニア、リベリア、シエラレオネの各保健省は、推定で10,000人以上いるとされるエボラ出血熱からの回復者の健康保護に対して、欠くことのできない一連の援助を提供するために、また、彼らとの濃厚接触による感染を防ぐために個々人に必要となる予防対策を取れるように、計画を立てています。2016年1月17日までに、リベリアでは300人を超える男性の回復者が精液のスクリーニング検査と相談サービスを利用しました。
  • 残存するエボラのリスク管理に対する第3期骨格の2つ目の鍵となる目的を達成するために、WHOは、ギニア、リベリア、シエラレオネで、エボラ出血熱との関連が疑われるあらゆる熱性疾患の患者や死亡者が医療関係者および公的機関に報告可能となるように、調査体制の強化が実施されることを支援しています。ギニアでは、1月17日の週に34県すべてから、地域社会(病院外)での死亡者について最高度の警告通報(869件)が報告されました。この期間に、稼働する9つの検査室で合計316検体(生きている患者から16検体、地域社会(病院外)での死者から300検体)が、新たに、又繰り返し検査されました。リベリアでは、15郡すべてから862件の警告通報を受けました。このうちのほとんど(725検体)が生きている患者からでした。国内で稼働する検査室5か所では、この期間にエボラ検査に対して861検体(生きている患者から718検体、地域社会(病院外)での死者から143検体)が検査されました。シエラレオネでは、14すべての地域から1,271件の警告通報が報告されました。そのほとんど(1,106検体)が地域社会(病院外)での死者からのものでした。この期間を通して稼働する検査室7か所で1,044検体(生きている患者から26検体、地域社会(病院外)での死者から1,018検体)が、新たに、又繰り返しエボラ検査に対して検査されました。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。§シエラレオネでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年11月7日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査体制に入っています。2015年11月7日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。ギニアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年12月29日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査体制に入っています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 20 January 2016
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-20-january-2016