2016年01月28日更新 ラッサ熱の発生について -ナイジェリア
2016年1月27日付けで公表されたWHOの情報によりますと、ナイジェリアの国際保健規約(IHR)国家担当者は国内各地でラッサ熱の流行が発生していることをWHOに通知しました。
詳細な流行の発生状況
2015年8月から2016年1月23日までに、19州にわたり死亡者82人を含む159人のラッサ熱疑い患者が報告されました。調査は現在も継続されており、過去の患者記録の見直しが行われています。そのため、これらの数値は変わることがあります。
最も感染の影響を受けている州は、Bauchi(バウチ)、Edo(エド)、Oyo(オヨ)、Taraba(タラバ)の各州で、確認された患者の54%(n=54)と報告された死亡者の52%(n=34)を占めています。残りの15州からの確定患者の報告は5人未満です。
死亡者34人を含む患者54人の検体は、ラッサ熱に対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)検査によって確認されました。すべての検体が、エボラ出血熱、デング熱、黄熱に対しては陰性でした。
これまでに、医療従事者4人がラッサ熱に対する検査で確認されました。これら4人のうち、2人は亡くなりました。4人が勤めていた4か所の医療施設では確定患者も疑い患者も報告されていなかったため、これらの医療従事者の患者は院内感染とは考えられていないことに注意を払うことが重要です。
1月21日現在、2,504人の接触者がリストに揚げられ、現在は1,942人が経過観察下にあります。562人の接触者は、経過観察期間を完了しました。これまでに、ラッサ熱に陽性と判定された接触者は出ていません。
公衆衛生における取り組み
ナイジェリアのWHO事務所は、連邦政府保健省(MoH)が対策を円滑に運営すること、特に、関係する調査活動(積極的な疾病調査活動と接触者の追跡)、患者管理、感染の予防と制御、および地域住民と医療従事者への注意喚起などに対して支援を行っています。WHOと保健省は、診療医の訓練強化と地域住民の注意喚起が必要であると指摘しています。
疾患の背景
ラッサ熱は、ナイジェリアの風土病で、ほとんど毎年12月から2月までをピークに国内のさまざまな地域で流行しています。この病気は、アレナウイルス科ラッサウイルスによって引き起こされる急性ウイルス性出血性疾患です。げっ歯類の排泄物で汚染された食品や家庭用品と接触することで人に感染伝達します。この病気は、西アフリカの一部の齧歯類が棲息する地域で流行します。人から人への感染および検査室での感染も起こります。特に、適切な感染制御対策が行われていない環境の医療施設では、発生の可能性があります。診断と一刻も早い治療が不可欠です。
げっ歯類は尿や便中にウイルスを排泄しますので、地域感染症としてラッサ熱のある国への旅行者は、げっ歯類に触ったり、近づいたりしないようにしましょう。
現地を訪れた方で、発熱や頭痛・咽頭痛などの症状がみられる場合には、速やかに現地の医療機関を受診してください。
FORTH 感染症情報:ラッサ熱
国立感染症研究所感染症情報センター:ラッサ熱
出典
WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 27 January 2016
Lassa fever- Nigeria
http://www.who.int/csr/don/27-january-2016-lassa-fever-nigeria/en/