2016年03月31日更新 エボラ出血熱終息に向けた状況レポート (更新7)

2016年3月30日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。総患者数は28,646人(流行3か国で28,610人)、死亡者数は11,323人(同11,308人)です。3月29日に、第9回国際保健規則緊急委員会が開かれ、西アフリカのエボラ出血熱の感染流行はもはや国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態にはないとの宣言が事務局長から出されました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況に内容を絞り込んでいます。原文では、要約に書かれている内容に対応して、詳細な内容が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 西アフリカのエボラ出血熱の感染流行に関する第9回国際保健規則(2005)緊急委員会が3月29日に開かれました。事務局長は、この委員会の助言と発生状況に対する彼女自身の評価に基づいて、国際保健規則に則り、西アフリカのエボラ出血熱の感染流行に関する国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態の終結を宣言しました。委員会は、前回の会議以降、エボラウイルスの感染源からの連鎖が遮断されたことを確認する基準が3か国全てで満たされたことを議題に取り上げました。また委員会は、ギニアで最近発生し続いていることを含めて、エボラ出血熱患者の新たな集団発生が続いているものの、それは予想されたこととして、これまでのところ、全ての集団発生が速やかに発見され、迅速に対応されていることを議題で取り上げました。
  • ギニアでは、2015年12月29日に最初の流行に直接関連するエボラ出血熱からの感染伝播が終結したことが宣言されていました。(ところが、)2016年3月17日に、ギニア南東部N'Zerekore(ンゼレコレ)県でエボラ出血熱の確定患者2人と可能性の高い患者3人が報告されました。さらに確定患者3人が、それぞれに3月21日、26日、28日に報告されました。全ての確定患者は県下のKoroparaで発生しました。3月21日と26日に報告され、患者は、最初の集団発生患者からのハイリスク接触者でした。3月28日に確認された患者との接触者の健康状態は、まだ報告されていません。確定患者5人は、全員が県下のKoropara の感染の可能性が高い患者3人と関係しています。可能性の高い患者2人は30代後半の女性、1人は50代後半の男性です。感染の可能性が高い患者3人は、2月27日から3月15日の間に死亡しましたが、安全には埋葬されていませんでした。調査では、最初に可能性の高い患者(30代後半の女性)が2016年2月15日あたりに発症したと判断しました。彼女の感染源が調査されています。ウイルスの遺伝子配列データは、確定患者の1人の血液に存在したウイルスが2014年11月にギニア南東部で流行したウイルスと極めて近い関係にあることが示されています。これまでのところ、集団発生に関係する1,033人の接触者が確認され、このうち171人がハイリスクであると考えられています。10人を除いて全ての接触者が追跡されています。首都コナクリを含めて西部地方の県から30人以上の疫学専門家が追加され再配備されています。また、4つの村が、対策の締結のための対象となりました。ここでは、住民が定期的に検診をして報告することが義務づけられ、村の近傍からは離れることが許可されません。予防接種チームが、3月22日に接触者と、接触者との接触者に対してワクチン接種を始めました。大量の接触者がいるため、新たな患者が発生する可能性があります。(3月30日に報告された)疑い患者1人が、現在、エボラ治療センターで観察下にあります。
  • ウイルスの持続保持に関する研究の一環として、リベリアで350人以上の病気回復者が精液のスクリーニング検査と医療相談を利用しました。また、シエラレオネでは、2600人以上の病気回復者が、一般健康診断と目の検査を利用しました。
  • エボラ出血熱の再侵入や再出現に対し残存するリスク管理において、WHOは、ギニア、リベリア、シエラレオネで、エボラ出血熱との関連が疑われるあらゆる熱性疾患の患者や死亡者は医療関係者および公的機関に報告される強化調査体制の実施を支援しています。ギニアでは、3月27日の週に34県すべてから、1,512件の警告通報が報告されました。全ての警告通報が地域社会(病院外)からの報告でした。この期間を通して、34県のうち17県から稼働する9つの検査施設で合計434検体が、新たに、又繰り返し検査されました。リベリアでは、15郡すべてから861件の警告通報が報告されました。国内で稼働する検査施設5か所では、この期間にエボラ検査に対して730検体が、新たに、又繰り返し検査されました。シエラレオネでは、3月20日の週に、この国の14の地域から1,220件の警告通報が報告されました。3月27日の週までに、稼働する検査室7か所で911検体が、新たに、又繰り返しエボラ検査に対して検査されました。

出典

WHO. Situation reports: Ebola response roadmapSituation report. 30 March 2016
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/204714/1/ebolasitrep_30mar2016_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1,457KB]