2016年04月11日更新 ラッサ熱の発生について -スウェーデン

2016年4月8日付けで公表されたWHOの情報によりますと、4月1日にスウェーデンの国際保健規則(IHR)国家担当者はラッサ熱の輸入感染をWHOに報告しました。

報告の詳細

患者は、73歳女性。リベリアでの6週間の旅行を経てスウェーデンに帰国しました。彼女は、1週目を首都モンロビアで過ごし、その後の1週間をYekeba(イェケバ)に滞在しました。彼女は、リベリアでの3週目に、Voinjama(ボインジャマ)で過ごし、そこでネズミと接触しました。患者は、残りの数週間をFoya Kamaraで過ごしました。3月2日に、スウェーデンに帰国した彼女は、3月8日頃に症状(発熱、悪寒、関節痛、頭痛、下痢)を発現し、3月17日に入院しました。医学的な検査では脳炎の徴候を示していました。

4月1日に、スウェーデンの公衆衛生局の検査施設で、血清学的検査、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査、遺伝子配列からラッサ熱であることが確認されました。患者は入院後には徐々に回復してきましたが、聴力障害だけは悪化しました。二次感染を防ぐために、彼女は、専門の治療センターに搬送され、隔離されました。

公衆衛生における取り組み

医療従事者と家族に対する接触者の追跡が完了しています。接触者74人が、現在、観察下に置かれています。最後に確認された接触者の経過観察期間(21日)は4月22日に終了します。

WHOのリスク評価

ラッサ熱は、これまでも西アフリカからヨーロッパに入っています。欧米諸国に感染輸入された最近のデータからは、標準的な感染予防対策が行われていれば、発生したとしても、ラッサ熱の二次感染は稀であることが示されています。したがって、スウェーデンでさらなるラッサ熱の感染が伝播する可能性は排除出来ないものの、現状では低いと考えられています。WHOは、疫学上の発生状況を監視し、最新の情報に基づき、引き続きリスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス

今年のこの時期における季節性の感染流行を考えると、ラッサ熱が流行している西アフリカ各国は、それぞれに関連する調査活動を強化することが勧められます。

ラッサ熱が疑われる又は確定した患者の治療に当たる医療従事者は、患者の血液や体液、ウイルスの付いた物品や衣類や寝具などの物資と接触することを防ぐために、さらに厳重な感染防御対策を当てはめる必要があります。ラッサ熱患者と緊密(1メートル以内)に接触する必要のある医療従事者は、顔面の保護(フェイスシールドまたは医療用マスクとゴーグル)、清潔な滅菌までは必要としない長袖のガウン、(いくつもの滅菌操作を含む)手袋などを着用しなければなりません。

検査施設で働く技師にもリスクがあります。ラッサ・ウイルス感染症を調査するために人および動物から採取された検体並びに試料は、訓練を受けた技師が取り扱い、最も厳しい生物学的な封じ込め条件が備えられた検査施設で適切に取り扱われる必要があります。

ラッサ熱が流行している地域からの帰国した発熱患者では、ラッサ熱を鑑別診断にあげる必要があります。ラッサ熱であることが疑われる患者を見つけた医療従事者は、助言を受け、検査体制を整える必要があるために、直ちに地元と国の専門機関に連絡しなければなりません。

WHOは、入手可能な情報に基づく限り、スウェーデン及びリベリアの旅行や貿易のいずれも制限することを推奨していません。

◆FORTH 感染症情報:ラッサ熱

国立感染症研究所感染症情報センター:ラッサ熱

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 8 April 2016
Lassa Fever- Sweden
http://www.who.int/csr/don/8-april-2016-lassa-fever-sweden/en/