2016年04月22日更新 エリザベトキンギア感染症の発生 -アメリカ合衆国
2016年4月21日付けで公表されたWHOの情報によりますと、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)国家担当者は、4月11日にエリザベトキンギア・アノフェリスによる集団感染の発生をPAHO/WHO(汎米保健機構/世界保健機構)に報告しました。
●報告の詳細
2015年11月1日から2016年3月30日にかけて、ウィスコンシン州(56人)とミシガン州(1人)から合計で57人の患者が報告されました。このうち、18人が死亡しています。患者の大半で、血液培養からE.anophelis(エリザベトキンギア・アノフェリス)が分離されました。その他の患者では、呼吸器系や関節などの他の臓器から、この細菌が分離されました。
ほとんどの患者は65歳以上で、全員が重篤な全身状態にあります。この集団感染に関係する死亡者が細菌によるものか、患者の合併症によるものか、もしくは、その両方かは判断できていません。
今日まで、共通する感染源は確認されていないものの、水源、医療施設、薬剤、個人の医療器具など、潜在するたくさんの感染源が調べられています。調査は現在も継続中です。
●公衆衛生上の取り組み
合衆国の保健当局は、次のような対策に取り組んでいます。
- エリザベトキンギア・アノフェリスに感染した患者への抗生物質による治療の実施
- 医療従事者、感染予防の専門家、検査施設などに対する幅広い感染制御と抗生物質の感受性パターンに関する情報の提供
●WHOによるリスク評価
Elizabethkingia anophelisは、ごく一般的な環境、特に土壌や水の中で発見されていますが、滅多に人に病気を引き起こすことはありません。以前にもいくつか、局所での小規模の集団感染が、医療現場を中心に報告されていました。アメリカ合衆国における現在の集団感染は、記録上、エリザベトキンギア症の最大のものです。この細菌の感染経路は不明であり、基本的には細菌が重篤な全身状態にある人々に感染していることから、さらなる患者が予想されます。PAHO/WHOは疫学上の発生状況の監視を続けており、入手可能な最新の情報に基づいてリスク評価を行っています。
●WHOからのアドバイス
PAHO/WHOは各国の公衆衛生当局に対して、国際保健規則(2005)の下で、これまでに構築された情報伝達網を使って、エリザベトキンギア感染症の集団感染とそこに潜在する確認できた原因を報告することを促しています。
出典
WHO.Disease Outbreak News, Emergencies preparedness, response. 21 April 2016
Elizabethkingia- United States of America
http://www.who.int/csr/don/21-april-2016-elizabethkingia-usa/en/