2016年05月02日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新12)

2016年4月28日付けでWHOより、ジカウイルス感染症、黄熱、エボラ出血熱の発生状況が公表されています。ここでは、このうちのジカウイルス感染症について掲載しています。

概要

  • 4月27日現在、蚊の媒介によってジカウイルスの感染伝播が、引き続き合計55の国と地域で報告されています。このうち、42か国で初めてのジカウイルスの流行発生が記録されています。
  • 蚊の媒介による感染伝播の内訳は以下のとおりです。
    • 42か国で、2015年以降に初めてジカウイルスの流行発生が発生しました。これらの国では、これ以前に流行が発生した証拠はなく、しかも、現在も蚊による感染伝播が続いています。
    • 13か国では、2007年から2014年までにジカウイルスの感染伝播が報告されました。これらの国では、現在も感染伝播が続いています。
    • 4つの国と地域では、2015年以前に流行の発生が報告されましたが、現在は終息しています。これらの国は、クック諸島、フランス領ポリネシア、チリのイースター島、ミクロネシア連邦のヤップ島です。
  • 人から人への感染伝播が以下のとおり発生しています。
    • 9か国(アルゼンチン、カナダ、チリ、フランス、イタリア、ニュージーランド、ペルー、ポルトガル、アメリカ合衆国)でジカウイルスの人から人への感染伝播が起きていたことが報告されています。
      感染経路は性交渉によるとみれています。
  • 4月27日までの週に、新たに蚊の媒介によってジカウイルスの感染伝播が報告された国はありません。人から人への感染伝播が、新たにカナダで報告されました。
  • ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症やその他の胎児奇形が、6か国(ブラジル、カーボヴェルデ、コロンビア、フランス領ポリネシア、マルティニーク、パナマ)から報告されています。また、ブラジルに滞在していたことと関連する2症例がアメリカ合衆国とスロベニアで確認されました。さらに1例、アメリカ合衆国で、妊娠女性において短期にメキシコ、グアテマラ、ベリーズに滞在していたことに関連する症例が確認されました。
  • ジカウイルスの感染が発生している状況において、13の国と地域で全国的にギラン・バレー症候群(GBS)の発生率の増加、および/またはGBS患者でのジカウイルス感染の検査確認が報告されています。
  • これまでの調査に基づけば、ジカウイルスが小頭症やギラン・バレー症候群の原因であるということで、学術的に意見が一致してきています。
  • 世界における感染の予防と制御の戦略が、WHOによって対策戦略の基本骨格に基づき開始されました。この骨格は、調査活動、対策活動、研究活動で構成されています。この公衆衛生上の緊急事態に対して、鍵となる介入が、WHO、国際支援組織、大陸間地域支援組織および国内支援組織によって共同で行われています。
  • WHOは、ジカウイルスの発生状況における新たな助言とさまざまな論題に関する情報を纏めました。リスクの情報伝達を支援するために、WHOの最新の資料、ニュースおよび情報源を公表し、関係のある集団にオンラインで入手できるようにしています。

リスク・アセスメント

4月21日以降、全体として、世界でのリスク評価に変更はありません。ジカウイルスは媒介能力をもつ蚊が生息する地域で地図の上で拡がりを続けています。いくつかの国では、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。利用できる証拠に基づいて、現段階で、WHOは流行が全体として減少傾向にあることは認めていません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 28 April 2016
Situation Report; Zika virus disease, Yellow fever, Ebola virus disease
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/205686/1/WHOsitrep_28Apr2016_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1,004KB]