2016年05月02日更新 サルモネラ感染症の発生 -アメリカ合衆国

2016年4月28日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)国家担当者は、4月20日に甲長4 inch/ 10cm程の小さなカメに触れた、もしくはカメが生息する環境に入ったことに関連して、複数4か所で人にサルモネラ感染症が集団発生したことの調査を行っているとPAHO/ WHOに報告しました。

症例の詳細情報

サルモネラの流行株に感染した患者が合計で124人、全米22州から報告されました。これらのうち、33%の患者が入院しています。死亡者は報告されていません。このうち、患者51人(41%)は年齢が5年未満でした。4つの集団感染に関連した病態の最も早いものは2015年1月1日に始まりました。最初の調査から、2015年のこれらの集団感染に関連する可能性のあるカメの生息源として、ルイジアナ州の4つのカメ飼育場を特定しました。 4つの飼育場で検査された池の水からは、これに加えて、非集団感染型のサルモネラ菌も単離同定されました。

公衆衛生上の取り組み

米国疾病対策センター(CDC)は、これらの集団感染を調査し、国際的にサルモネラを保菌したカメが感染輸出された可能性のあるカメ飼育場の確認に努めています。疫学調査、検査および環境調査の結果は、カメもしくはカメが生息する環境への接触が集団感染の発生源であることを示しています。

WHOによるリスクアセスメント

1975年以降、米国での小さなカメの販売や配送は禁止されているにもかかわらず、米国ではペットのカメに関連するサルモネラの集団感染が記録されています。カメは人へのサルモネラ感染症の原因として知られており、特に、このような集団感染のほとんどの患者は、幼児や子供で起きています。

この感染は国際的に輸出されている小さなカメとの接触に関係しているため、他の国でも小児に集団感染する危険があります。重度に免疫が抑制されている患者では、感染および死亡のリスクが通常よりも高くなります。PAHOは、引き続き、入手可能な最新の情報に基づいて、疫学的状況と動向のリスク評価を監視していきます。

WHOからのアドバイス

小さなカメなどの爬虫類や両生類をペットとして輸入している国では、ペットによる輸入感染の可能性に注意しなければなりません。また、サルモネラ感染症の調査をしている患者、特に、小児において集団感染の可能性を調査しているときには、小さなカメやその他の爬虫類もしくは両生類のペットとの接触を考えることを地元の衛生当局に知らせておかなければなりません。

出典

WHO.Emergencies preparedness, response.Disease outbreak news. 28 April 2016
Salmonellosis- United States of America
http://www.who.int/csr/don/28-april-2016-salmonellosis-usa/en/