2016年05月19日更新 アンゴラへの旅行者に対する黄熱ワクチン接種の注意喚起(WHO)
2016年5月17日に世界保健機関(WHO)は、旅行者に向けてアンゴラにおいて黄熱ワクチン接種が重要であることを、改めて注意喚起しています。最初の注意喚起は4月26日に出されました。
アンゴラでの黄熱の流行を制御するための努力が続けられる中で、WHOは、この国に行く全ての旅行者に対して、黄熱の予防接種の接種を受け、この病気に対する免疫力をもっていることを証明し、さらに拡散を防ぐことを示すワクチン接種証明書を所持することが要求されていることを、注意喚起しています。
アンゴラでの流行は、2015年12月に発生して以来、死亡者258人を含む黄熱疑い患者1,975人(検査確認患者618人)が報告されています(4月26日に掲載された時点)。報告の大部分は、首都ルアンダとその他2州からとなっています。このウイルスが他の都市部や近隣諸国へと広がることへの懸念があるため、2016年2月には、大規模な予防接種キャンペーンが開始されました。これまでに、接種者は約700万人に達しています。
「この流行に関連する黄熱患者は、この他にもアフリカおよびアジアの各国で発見されています。私たちは、大都市圏が危険に曝されることを特に心配しています。そのため、アンゴラに向かう全ての旅行者は黄熱の予防接種を確実に受けて、有効な証明書を携帯すること強く勧めます。」と、WHO事務局長マーガレット・チャン博士は述べました。
ウイルスを保った蚊、特にシマカ属の蚊によって広がる黄熱は、現在も特異的な治療法のない急性ウイルス性の出血性疾患です。ウイルス感染が成立した患者の一部は、重篤な症状を引き起こし、その約半数は10~14日以内に死亡します。しかし、たった1回のワクチンを接種するだけで、生涯にわたり免疫力が得られます。しかも、安全かつ手の届く価格です。この有効性は、接種日から10日後に得られます。
国際保健規則(IHR)の下では、アンゴラへの全ての旅行者に対して黄熱の予防接種を行うことが要求されています。IHRは、感染症やその他の健康に対する脅威の拡散を阻止するための法的拘束力のある枠組みです。IHRは、アンゴラへ向かう全ての旅行者に対して、黄熱の予防接種を受けていないことに医学的理由がある場合には、その適正な行政当局によって認定された理由書を取得することを要求しています。
WHOと加盟する支援組織は、アンゴラ政府が、世界からのワクチン供給体制を活かして、対象となる人々に確実にワクチンを接種するとともに、疾病調査の活動量を増し、媒介する蚊の制御を強化していくことを、支援しています。
WHOは、この流行の発生に関して入手可能な情報に基づく限り、アンゴラへの旅行や貿易の何れに於いても制限することを推奨していません。感染の発生地域に行く前に、一人ひとりがワクチンを接種するとともに、防蚊対策を万全に行えば、この病気を十分に防ぐことができます。
出典
WHO.News release, Media centre. 17 May 2016
Yellow fever vaccination essential for Angola, WHO reminds travellers
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/yellow-fever-vaccination/en/