2016年05月20日更新 ラッサ熱の発生について-リベリア

2016年5月18日付けで公表されたWHOの情報によりますと、リベリアから少なくともラッサ熱疑い患者が38人発生したことがWHOに報告されました。

報告の詳細

2016年1月1日以降、リベリアから少なくともラッサ熱疑い患者が38人発生したことがWHOに報告されました。

疑い患者は、Bong (ボン郡:患者17 人、うち死亡者9人)、Nimba (ニンバ郡:患者14人、うち死亡者6人)、Gbarpolu (バルボル郡:患者4人)、Lofa (ロファ郡:患者1人)、Margibi(マージビ郡:患者1人)、Montserrado(モンセラード郡:患者1人)の6郡から報告されています。

2016年1月1日から4月3日までに、疑い患者24人の検体で検査が行われました。これら疑い患者24人のうち、7人はラッサ熱に対して陽性であることが報告されています。

  • 患者2人をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査により確認
  • 患者2人を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法におけるIgM抗体の検出によって確認
  • 患者2人をELISA法におけるラッサ・ウイルス抗原の検出によって確認
  • 7番目の患者が識別された検査方法は、現在、情報を入手できていません。

ラッサ熱が確認された患者におけるエボラ出血熱の検査結果は全て陰性でした。PCR法検査によってラッサ熱を検査できる指定検査機関がリベリアにはないため、現在、検査のための検体はシエラレオネのケネマに送られています。

公衆衛生における取り組み

現在までに、接触者134人が21日の経過観察期間を完了しました。また、接触者17人が経過観察されています。これまでに、これらの接触者のうち症状を発現した者はおりません。

 

WHOと加盟組織の支援を受けて、患者の管理、感染症の予防と管理、地域社会の活動、健康教育など、流行に対する適切な対応策が国の担当部局によって配備されてきています。

WHOのリスク評価

ラッサ熱は、リベリアでは風土病であり、毎年、国内のさまざまな地域で流行を引き起こしています。これまでの同様の事態に対する経験に基づけば、さらなる患者が報告されることは予想の範囲内です。

 

過去にも旅行に関連したラッサ熱の偶発的な発生事例が報告されています(2016年4月8日および27日の公開情報を参照)。しかしながら、リベリアから非流行国にこの病気が広がるリスクは低いと考えられています。WHOは、入手できる最新の情報に基づいて、疫学的な発生状況を監視し、リスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス

今年のこの時期における季節性の感染流行を考えると、ラッサ熱を風土病とする西アフリカ各国には、それぞれに関連する調査活動を強化することが勧められます。

 

ラッサ熱が疑われる又は確定した患者の治療に当たる医療従事者は、患者の血液や体液、ウイルスの付いた物品や衣類や寝具などの物資と接触することを防ぐために、さらに厳重な感染防御対策を当てはめる必要があります。ラッサ熱患者と緊密(1メートル以内)に接触する必要のある医療従事者は、顔面の保護(フェイスシールドまたは医療用マスクとゴーグル)、清潔な滅菌までは必要としない長袖のガウン、(いくつもの滅菌操作を含む)手袋などを着用しなければなりません。

検査施設で働く技師にもリスクがあります。ラッサ・ウイルス感染症を調査するために人および動物から採取された検体並びに試料は、訓練を受けた技師が取り扱い、最も厳しい生物学的な封じ込め条件が備えられた検査施設で適切に取り扱われる必要があります。

ラッサ熱が流行している地域からの帰国した発熱患者では、ラッサ熱を鑑別診断にあげる必要があります。ラッサ熱であることが疑われる患者を見つけた医療従事者は、助言を受け、検査体制を整える必要があるために、直ちに地元と国の専門機関に連絡しなければなりません。

WHOは、入手可能な情報に基づく限り、リベリアの旅行や貿易のいずれも制限することを推奨していません。

FORTH感染症情報

ラッサ熱

国立感染症研究所感染症情報センター

ラッサ熱

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 18 May 2016
Lassa Fever- Liberia
http://www.who.int/csr/don/18-may-2016-lassa-fever-liberia/en/