2016年08月03日更新 リフトバレー熱の発生について-中国
2016年8月2日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国際保健規則(IHR)国家担当者は、7月23日に、リフトバレー熱の輸入感染患者をWHOに報告しました。
患者の詳細情報
患者は、アンゴラのルアンダ州で働いていた河南省の45歳の男性です。ルアンダ以外の渡航歴は報告されていません。潜在する感染源について、調査が進められています。
患者は、2016年7月14日にアンゴラで症状(頭痛、発熱、関節痛および筋肉痛)を発現しました。彼は、治療のためにアンゴラの病院を受診しましたが、症状が持続し、2016年7月21日に中国に戻りました。
北京に到着したときには、彼は既に重篤な状態に陥り、治療のために専門病院に搬送されて、隔離されました。
2016年7月23日、患者の検体からは、北京市疾病予防管理センター(北京CDC)でリフトバレー熱に対し陽性であると判明し、同日、中国疾病予防管理センター(中国CDC)でも確認されました。国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、患者の疫学上の経過、臨床症状、検査結果を確認するために、7月23日に専門家委員会を招集しました。この患者が中国で初めてのリフトバレー熱の輸入感染例であると結論づけられました。現在、患者は重篤な状態にあります。
公衆衛生上の取り組み
中国政府は以下のサーベイランスと感染の予防と制御のための監視体制およびその他の対策を実施しています。
- 1.関係する部門間での連携と協力体制の強化
- 2.患者の治療の強化
- 3.患者の隔離体制、病院における感染の予防と制御の対策、疫学調査および検査体制の維持
- 4.媒介する蚊の調査と監視と同時に、蚊の駆除、殺菌、消毒などの管理への取り組みなど、感染対策の強化
- 5.国民への感染リスク情報の伝達と情報の普及
アンゴラでは、WHOの支援を受けて調査チームがアンゴラ保健省によって設定されました。
WHOによるリスクアセスメント
リフトバレー熱は、主に動物で発生するとともに、人にも感染する人獣共通のウイルス感染症です。人への感染の大半は、感染した動物の血液や臓器に直接または間接的に触れることで生じます。人には、ウイルス感染した蚊に刺されたり、吸血ハエに咬まれたりした傷からも感染します。未殺菌の生乳、ウイルス感染した動物の料理していない肉からも、リフトバレー熱が人に感染したことの証拠がいくつも存在します。
これまでのところ、ウイルスが人から人へと伝播したことは報告されていないことと、中国では媒介する蚊への対策が適切に行われていることから、WHOは、1人の輸入感染患者から中国の国内外でさらなる感染が生じるリスクは低いと評価しています。
出典
WHO. Emergencies preparedness, response. Disease outbreak news. 2 August 2016
Rift Valley fever in China
http://www.who.int/csr/don/02-august-2016-rift-valley-fever-china/en/