2016年08月05日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新25)

2016年8月4日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

概要

  • 2007年以降、2016年8月3日までに、合計68の国と地域で蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が報告されています(2015年以降、合計65の国と地域で蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が報告されています)。蚊の媒介による感染伝播の内訳は以下のとおりです。
    • 51の国と地域で、2015年以降に初めてジカウイルスの流行発生が発生しました。
    • 2016年に、国内感染の高い可能性、又は蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が4か国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)から報告されました。
    • 13の国と地域では、2015年までに局所での蚊の媒介によるジカウイルスの感染の証拠が報告されていました。しかし、これらの国では、2016年には感染伝播が報告されていないか、流行は終息しています。
  • 2016年7月29日に、アメリカ合衆国で初めての媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告されました。
  • 2016年2月以降、11の国でジカウイルスの人から人への感染伝播が起きていた証拠が報告されました。感染経路は性交渉によるとみられています。
  • 2016年8月3日までに、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症やその他の中枢神経奇形が、14の国と地域(ブラジル、カーボヴェルデ、コロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、マーシャル諸島、マルティニーク、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セルビア、スペイン、アメリカ合衆国)から報告されました。先週は、新たに小頭症が報告された国や地域はありません。また、WHOのアメリカ大陸事務局に14か国のうち3か国から、ジカウイルスの発生のない国で、しかし、最近になってジカウイルス感染症が発生している国への旅行歴のある母親から生まれた小頭症新生児が報告されています。
  • 2016年8月3日までに、アメリカ疾病対策センターから、先天性障害のあった新生児13例とジカウイルスへの感染の可能性のある検査結果をもつ先天性障害による流産6例が報告されました。
  • 2016年8月3日までに、世界で15の国と地域 (ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、スリナム、ベネズエラ、グアドループ、ハイチ、パナマ、プエルトリコ)で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生率の増加、および/またはGBS患者でのジカウイルス感染の検査確認が報告されています。
  • ギニア・ビサウでは、2016年6月29日に、ダカールのパスツール研究所(IPD)でのPCR法検査によって、12検体のうち3検体でジカウイルスに陽性であることが確認されました。12例全てが検査ではジカウイルスIgMに対しては陰性でした。新たな患者の追加検体からもジカウイルスが検査で陽性結果が出ました。7月1日には、4本全ての検体が遺伝子配列を確定するためにIPDに送られました。現在、結果を待っているところです。また、22本の検体が追加採取され、検査のために送られました。こちらも、結果を待っているところです。
  • オリンピック期間中、メディアからの質問に答えるために、WHOの専門技術者の名簿を利用できるようになります。
  • WHOは、ジカウイルスの発生状況の中でのさまざまな話題に関する新たな助言や情報を作成しています(http://www.who.int/csr/resources/publications/zika/en/)。

リスク・アセスメント

全体として、世界でのリスク評価に変更はありません。ジカウイルスは媒介能力をもつ蚊が生息する地域では、地図の上で拡がりを続けています。いくつかの国やその国の一部の地域では、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。利用できる証拠に基づけば、現段階で、全体として流行は弱まる傾向にはありません。

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 4 August 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/247197/1/zikasitrep4Aug2016-eng.pdf?ua=1[PDF形式:165KB]