2016年08月15日更新 黄熱の発生状況(更新15)

2016年8月12日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。ここでは、概要、リスク・アセスメント、感染対策を取り上げます。アンゴラ、コンゴ民主共和国での個別の発生状況も掲載されていますので、詳細は原文でお確かめください。

概要

  • アンゴラでは、7月および8月の新たな確定患者は報告されていません。8月4日現在、疑い患者3,867人が報告されました。そのうち、確定患者が879人でした。死亡者数は369人で、そのうち119人が確定患者から報告されました。確定患者は18州のうち16州から報告されました。
  • アンゴラでの感染対策の優先順位は、国境地域とリスクのある地域で流行の先手を取ってワクチンキャンペーンを完了すること、強化した調査活動と患者発見活動の体制を維持すること、そして、媒介する蚊の駆除活動を継続することにあります。
  • 集団予防接種キャンペーンは、アンゴラで感染が発生したほとんどの地域で実施されています。8月15日には、18地区の300万人を対象に、感染の先手を取ってワクチンキャンペーンを始めることになっています。また、ナミビアとの国境近くの4地区でも、8月の早期にワクチン接種が実施されることになっています。
  • 8月8日までに、コンゴ民主共和国(DRC)では、疑い患者2,269人が報告されました。
  • 8月8日までに、DRCで分析された検体1,943本により、死亡者16人を含む確定診断患者74人(致死率21.6%)が確認されました。確定患者は国内26州のうちの7州から報告されました。確定患者74人のうち、56人はアンゴラからの感染輸入患者で、3人は(流行とは関係のない)森林型黄熱患者、12人は国内感染患者でした。また、3人は最終検査を行っているところです。
  • ワクチン予防接種キャンペーンが、キンシャサ州32衛生行政地域およびアンゴラと国境を接する16衛生行政地域で、8月17日に始まりました。緊急用のワクチン接種方法として知られる分割接種が、キンシャサのワクチン接種キャンペーンの中で実施されることになっています。

図.黄熱の確定診断患者の分布図

図1.黄熱の確定診断患者の分布図[アンゴラ]
※アンゴラの8月4日現在

リスク・アセスメント

  • アンゴラでの流行は終息に向かっており、7月中および8月(8月4日まで)に入っても国内で新たな確定患者は報告されていません。しかし、全国規模で高度な警戒体制は維持される必要があり、流行の先手を取った集団予防接種キャンペーンは計画どおりに実施されます。
  • コンゴ民主共和国(DRC)では、これまでに流行が発生している3州に加えて新たな保健行政地域および新たな州にも流行が拡がっており、警戒体制の強化を必要としています。この国で媒介するシマカ属の蚊の存在や活動性および国民の免疫能力が低い状態にあることを考えると、流行は他州にまで波及する可能性があります。

感染への対策

  • 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
  • WHOは、 ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保つ世界中の在庫とブラジルのBio-Manguinhos施設を通じて、2,800万回分を超えるワクチンを搬出しました。
  • 2016年8月10日現在、アンゴラでは2,100万回分のワクチンが、DRCでは1,150万回分のワクチンが接種されてきました。
  • 現在、緊急に対応できるワクチンの数は570万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 12 August 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/249520/1/yellowfeversitrep12Aug16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:165KB]