2016年08月22日更新 黄熱の発生状況(更新16)
2016年8月19日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。今週より、掲載の様式が変更されています。詳細は原文でお確かめください。
更新の要点
- アンゴラの8月11日現在の疫学情報です。
- 6月23日以降、新たな確定患者はいません。
- 死亡者369人を含めて、疑い患者3,922人が報告されました。
- 疑い患者3,922人のうち、879人で診断が確定され、そのうちの119人が死亡していました。
- 地域感染により、18州のうち16州で1人以上の確定患者が報告されました。
- アンゴラの地域感染が確認された地域で感染対策としての集団ワクチン接種キャンペーンが実施されてきました。また、予防のためのワクチン接種キャンペーンが、第1段階として約300万人、第2段階として200万人で、8月15日から開始されました。このキャンペーンの第1段階では、アンゴラがコンゴ民主共和国、ナミビア、コンゴ共和国と国境を接する、もしくは、その周辺の17州22地区の住民のリスクを最小限に抑えることを目的としています。8月18日までに、キャンペーン第1段階の対象として住民の31%に当たる922,177人にワクチンが接種されました。
- コンゴ民主共和国(DRC)の8月18日現在の疫学情報です。
- 国内26州のうちの7州から疑い患者2,357人が報告されました。
- 疑い患者1,986人に確認試験が行われ、16人の死亡患者を含む73人の患者(致死率: 21.9%)が確定診断されました。
- 確定患者73人のうち、56人はアンゴラからの感染輸入患者で、13人は国内感染患者、3人は(流行とは関係のない)森林型黄熱患者で、1人は検査結果待ちです。
- ワクチン予防接種キャンペーンが、8月17日に始まりました。このキャンペーンは、キンシャサの32衛生行政地域800万人とアンゴラとの国境付近又は国境を接する16衛生行政地域300万人でリスクを最小限に抑えることを目的としています。キンシャサのワクチン接種キャンペーンにおいては、使用できるワクチン量が限られた緊急事態においてのみ適応が勧められる分割接種(標準用量の1/5量での投与)法が実施されています。
分析
- 全体的なリスク評価に変更はありません。
- 現在、アンゴラとコンゴ民主共和国で進められている流行と同時または流行の先手を取った集団ワクチン接種キャンペーンは、この長年にわたる感染の発生に終息をもたらす機会になることを示しています。しかし、ときにはかなりの遠隔地でも大規模なキャンペーンを実施することが大きな課題となることを考えると、このリスクはまだ高いままです。
- 備蓄ワクチンは、計画された予防接種キャンペーン全てを完了させるには十分であり、他の国で新たな患者、新たな感染の集団発生が起きたとしても、十分な量を残しています。
発生状況
アンゴラ
- 6月23日以降、確定患者はでていません。継続中の調査によれば、これまでの数か月間に報告されてきた疑い患者数が減少しており、安定しています。
- 2015年12月5日から2016年8月11日までに、疑い患者は合計で3,922人となり、そのうち879人で確定診断が報告されています。この間に、合計で369人が死亡し、うち死亡者119人が確定診断された患者でした。
- 流行の開始以来、疑い患者は18州ある全ての州から報告されています。確定患者は16州80地区から報告されています。地域での感染伝播は12州45地区から報告されました。
- Luanda(ルアンダ州)とHuambo(ウアンボ州)で、最も多くの患者が報告されています。8月11日現在、患者2,037人(確定患者487人、全確定患者の55.5%)がルアンダ州から報告され、患者624人(確定患者127人、全確定患者の14.5%)がウアンボ州から報告されました。
コンゴ民主共和国(DRC)
- 8月18日現在、コンゴ民主共和国(DRC)では、26州のうち7州から合計で2,357人が報告されています。
- 1,956検体から確定患者が73人確認されました。16人の死亡が確定患者から報告されています。確定患者73人のうち、56人がアンゴラでの感染患者、3人が森林型黄熱患者、13人が国内感染患者、1人は検査結果待ちとなっています。以前に報告された74人のうちの1人は重複が判明し、破棄されました。
- 国内感染患者13人は、3州10地区[キンシャサ(6人)、コンゴ中央州(2人)、Kwango州(5人)]から報告されました。森林型黄熱患者は、Bas Uele、Kasai、Tshuapaの各州から1人ずつが報告されました。
- ワクチン予防接種キャンペーンが、8月17日に始まりました。このキャンペーンは、キンシャサ州32衛生行政地域800万人とアンゴラとの国境付近又は国境を接する16衛生行政地域300万人でリスクを最小限に抑えることを目的としています。キンシャサのワクチン接種キャンペーンでは、使用できるワクチン量が限られた中での緊急事態においてのみ適応が勧められる分割接種(標準用量の1/5量での投与)法が実施されています。
- これまでに、キンシャサに32ある全ての地区で住民の高い接種率が確認されました。8月18日におけるキンシャサ14地区からのデータによれば、2016年8月17日までに570,085人にワクチンが接種されました。残る18地区からも、キャンペーン初日のデータの報告が待たれています。ワクチン接種が拒否されたということは、報告されていません。
図1.黄熱の確定診断患者の分布図[コンゴ民主共和国] ※8月18日現在
感染への対策
- 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
- WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫とブラジルのBio-Manguinhos施設を通じて、2,700万回分を超えるワクチンを搬出しました。
- 2016年8月18日現在、アンゴラでは1,800万回分のワクチンが、DRCでは910万回分のワクチンが接種されてきました。
- 現在、緊急に対応できるワクチンの数は670万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。
出典
WHO. Situation Report, Emergencies. 19 August 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/249535/1/yellowfeversitrep19Aug16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:519KB]