2016年09月01日更新 黄熱に対する第2回IHR緊急委員会会議の声明
2016年8月31日にWHOから黄熱に対する第2回IHR緊急委員会の声明が発表されました。
註:本文はあくまで参考情報です。詳細な内容については原文をお確かめください。
声明の概要
黄熱に対する第2回緊急委員会会議が、国際保健規則(IHR:2005)に則り、WHO事務局長によって招集され、2015年8月31日(ヨーロッパ中央時間)13:00から17:15までテレビ会議を使って行われました。
WHO事務局は、アンゴラとコンゴ民主共和国(DRC)における黄熱の流行、および国際的な拡大が報告された国々や(拡大に対して)高いリスクのある国々の状況とその対応について委員会に報告書を提出しました。また、WHO事務局は、世界における黄熱ワクチンの在庫状況の最新の情報を提出しました。
加盟国であるアンゴラ、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国からは、委員会に更新された情報が提示されました。
委員会は、アンゴラとコンゴ民主共和国(DRC)での黄熱の流行を含めて、感染が発生した国と支援組織によって行われた(感染拡大の)懸念への取り組みとその進展を議題としました。アンゴラでは6月23日以降に確定患者の報告はなく、DRCでも7月12日以降は報告がありません。これまでのところ、コンゴ共和国では確定患者の報告は確認されていませんが、DRCとコンゴ共和国との間には激しい人々の往来があるため、流行の拡大へのリスクが懸念されていました。委員会は、現在はウガンダでの流行が終息し、中国とケニアの感染輸入がさらなる伝播をもたらしていないことを聞き、安堵していることを示しました。
委員会は、DRCのキンシャサで実施されている最近のキャンペーン期間中に、例外的に黄熱ワクチンの分割用量による接種法を採用し、非常に高い住民の接種率を達成したことを議題に上げました。分割用量による接種法からの免疫応答力の持続期間を含めて、現在、このキャンペーンの効果が評価されています。
提供された情報を議論し検討した後、委員会はアンゴラやコンゴ民主共和国における黄熱流行の現在の状況は、国際的に脅威となる公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には該当しないと判断しました。しかしながら、委員会は、(感染対策に)かなりの進展はあるものの、この流行は国際的な活動と支援を継続すべき深刻な公衆衛生上の事態であるとも結論付けました。また、差し迫った雨季の始まりは、媒介する蚊の活動を高め、局所的な黄熱の伝播のリスクを高めます。
委員会のメンバーは、WHOと加盟国が速やかに対策活動を検討するための技術的なアドバイスとして、次のことを示しました。
感染が発生した国(アンゴラおよびコンゴ民主共和国)に対して:
・調査および検査能力のさらなる強化、集団予防接種の完遂、住民への注意喚起の継続、地域活動、媒介する蚊に対する集約的な制御・駆除活動および患者の管理への対策
・分割用量の接種法でのキャンペーンに対する多様な観点からの報告を通して、免疫応答能の持続期間に関する研究の中間結果を共有すること
・現在、黄熱ウイルスの活動が見られる地域を出入りするすべての渡航者、特に、移民労働者に黄熱ワクチンを接種することが必要であることの認識強化
その他の国に対して:
・適応のある地域での小児の予防接種プログラムの一環として、黄熱ワクチンの接種を強化すること
・旅行者への黄熱ワクチンの接種証明書を含め調査活動・準備活動を強化すること、感染リスクへの注意喚起、感染リスクのある国での国境を越えた対策の協調活動、特に、感染が発生している国と国境を接する国との協調活動を強化すること
・コンゴ共和国の感染リスクの高い地域での流行の先手を取ったワクチン接種キャンペーン実施の検討
・WHOおよび支援組織は、黄熱ワクチンを慎重かつ計画的に扱う努力を行い、ワクチンの備蓄量を維持・確保すること
また、委員会は、輸入感染や地域感染には、如何なる新たな黄熱患者に対しても迅速に対応する必要があることを強調しました。
今後に向けて、委員会は、このような事態のリスクが高まっていることのWHOの評価に合わせて、黄熱ワクチンの安全確保の見直しを含めて、都市型黄熱の流行を防止するために世界戦略を改訂していくことで合意しました。
これらの見解および現時点で入手できた情報に基づき、事務局長は、現在の黄熱の流行状況は深刻かつ重大な懸案事項であり、集約的な対策が求められるべきと考えるものの、現時点ではPHEICには該当しないという委員会の評価結果を、受け入れました。
事務局長は、本委員会が流行国及びリスク国に対する優先すべき活動について助言し、WHOに対してもさらなる黄熱リスクへの管理活動に関して総括的に助言したことに対して謝意を示しました。また、本委員会が必要に応じ再招集されるべきことで一致したことについても謝意を述べました。
出典
WHO.WHO statement, Media Centre. 31 August 2016
Second meeting of the Emergency Committee under the International Health Regulations(2005)concerning yellow fever
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2016/yellow-fever-second-ec/en/