2016年09月07日更新 ジカウイルス感染症の発生国への旅行者に向けての情報(更新)

2016年9月6日に、ジカウイルス感染症の発生国への旅行者に向けた注意喚起の情報が更新されました。また、WHOから性行為によるジカウイルスの感染を防ぐための暫定のガイドライン[PDF形式:368KB]が出されました。性行為による感染が予想以上に多く見込まれ、渡航の際に注意を払うべき期間も長く取るべき方向で改訂されています。詳しくは、原文をご参照ください。

概要

WHOは、これまでに得られた情報から、ジカウイルスが感染伝播する国や地域への渡航およびその国や地域との貿易に一般的な制限を行うべきものではないことを述べています。

しかしながら、WHOは妊娠女性に対してジカウイルスの流行が続いている地域には旅行すべきでないことをアドバイスしています。このアドバイスは、ジカウイルスに感染した妊娠女性から生まれた赤ちゃんにおいて、小頭症やその他の神経学的合併症のリスクが増加することに基づいています。小頭症とは、赤ちゃんの頭が小さいままで生まれてきたり、誕生後に頭の成長が止まってしまったりする状態のことです。

予防対策として、いくつもの国の政府が、これまでに得られた情報の評価や地域におけるリスク要因に基づいて、自国の住民に対し公衆衛生上と旅行上の注意喚起を行っています。

ジカウイルスは、主にシマカ属の蚊に刺されることで人に感染します。また、ジカウイルスは性行為によっても感染します。(WHOは、性交渉による感染を防ぐための指針を出しています:Prevention of sexual transmission of Zika virusInterim guidance

ジカウイルス感染症の発生地域に出発する前に

ジカウイルスが流行する地域にいる旅行者は、蚊に刺される可能性および性交渉によるジカウイルスの伝播の可能性を下げるために、潜在するリスクと適切な感染対策に対する最新のアドバイスを入手しておく必要があります。

ジカウイルス感染症の発生地域に滞在するときに

男女ともに(コンドームを一貫して使用するなど)安全な性交渉を心がけること、ジカウイルスへの感染、HIV感染症などの性行為感染症、望まない妊娠を防ぐために性交渉を控えること、が必要です。

旅行中の防蚊対策には以下の対策が必要です。

  • 可能な限り、明るい色で、全身を覆うような衣服を身につけること
  • 防虫剤を使用すること。虫除け剤にはDEET(ジエチルトルアミド)、IR3535(3- [N-ブチル-N-アセチル]アミノプロピオン酸エチルエステル)またはKBR3023(IcaridinやPicaridinと呼ばれている)が含まれているものを使用してください。防虫剤は露出した皮膚に塗ることも、衣類の上から使用することもできますが、ラベルの指示に従って厳正に使用しなければなりません。防虫剤と日焼け止めは一緒に使用することもできますが、その場合は、最初に日焼け止めを塗り、その後で防虫剤を使用する必要があります。
  • ドアや窓に一定間隔の網戸や殺虫成分で処理された網素材、もしくはドアや窓の閉鎖などのような物理的な障害物を使用すること
  • 蚊帳の中での睡眠。特に、シマカ属の蚊の活動が活発となる日中には蚊帳を利用すること。

帰国した後に

ジカウイルスのさらなる伝播を防止し、妊婦への害と胎児への影響を防ぐために、旅行からの帰国した全ての者は一貫して適正にコンドームを使用するか、少なくとも6か月間は(性行為を)控えるなどの安全な性生活に努めてください。

旅行からの帰国した者は、蚊に刺されることと、そのことによって他の人に感染を広げることのないように、少なくとも3週間は防虫剤の使用を続けてください。

妊娠女性の性交渉の相手は、より安全な性交渉を心がけるか、少なくとも妊娠中は(性交渉を)控える必要があります。

出典

WHO.Emergencies preparedness, response. Updated 3 October 2016
Information for travellers visiting Zika affected countries
http://www.who.int/csr/disease/zika/information-for-travelers/en/