2016年09月12日更新 黄熱の発生状況(更新19)
2016年9月9日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。詳細は原文でお確かめください。
更新の要点
- アンゴラの9月1日現在の疫学情報です。
- 6月23日以降、新たな確定患者は出ていません。
- アンゴラでは、予防接種キャンペーンの第1段階が完了しました。9月1日現在、住民2,807,628人にワクチンが接種されました。キャンペーンの第2段階が準備されており、これは12州で300万人以上の人を対象としています。
- コンゴ民主共和国(DRC)の9月8日現在の疫学情報です。
- 7月12日以降、現在の流行に関係する新たな確定患者は出ていません。
- Sud Ubangi(南ウバンギ)州のBominenge保健地域で最初に報告された届出症例は、現在調査中です。2番目の症例は、Sud Ubangi(南ウバンギ)州内の異なる地域のUbangu保健地域から、9月8日の週に報告され、調査中です。
- コンゴ民主共和国では、先行予防接種キャンペーンが終了しました。予備的な結果は、キンシャサ市では行政予防接種率は103.1%、中央カサイ州では101%、中央コンゴ州では98.3%、カサイ州では101%、クワンゴ州では101%、ルアラバ州では100.8%を示しています。独自の調査では、ワクチン接種率はキンシャサ市で98.2%であると評価しました。
- ウガンダは2016年9月6日に黄熱流行の終了を宣言しました。この流行は、アンゴラとDCRの流行に関連したものではありませんでした。
分析
- 全体的なリスク評価に変更はありません。
- 7月から、コンゴ民主共和国(DRC)では現在の流行に関連した確定症例は出ていません。今週は、疑い患者が報告された新たな衛生行政地区はありません。それでも、調査活動と検査確認に伴う困難さから、注意することは重要です。
- キンシャサ市のワクチン接種の取り組みの独自調査は、この地域の黄熱に対して集団免疫の高いレベルを提供し、優れた接種率を証明しています。
- ワクチンの備蓄量は、すべての予防接種キャンペーンの計画を完了しても、十分に余力があり、仮に新たな患者が発生したり、他の国で流行が発生したりしても、それに対応できるだけの在庫があります。
疫学的な発生状況
アンゴラ
- 6月23日以降、確定患者は出ていません。発生状況は安定しており、先月の疑い患者数は減ってきています。
- 2015年12月5日から2016年9月1日までの状況は、以下のようになっています。
- 疑い患者は4,065人で、このうち372人が死亡しています(致死率:9.2%)。
- 検査確定患者は884人で、このうち121人が死亡しています(致死率:13.7%)。
- 流行の開始以来、疑い患者は18州ある全ての州から報告されています。確定患者は16州80地区から報告されています。地域での感染伝播は12州45地区から報告されました。
- Luanda(ルアンダ州)とHuambo(ウアンボ州)で、最も多くの患者が報告されています。9月1日現在、患者2,063人(確定患者488人)がルアンダ州から報告され、患者636人(確定患者128人)がウアンボ州から報告されました。
コンゴ民主共和国(DRC)
- 2016年1月1日から9月8日までの状況は、以下のようになっています。
- 全26州から2,603人の疑い患者が出ています。
- 検査が行われた疑い患者2,253人において75人が確定診断されました。このうち16人が死亡しています(致死率:21.33%)。
- 確定患者75人は7つの州から報告され、57人がアンゴラでの感染、13人が国内での感染、5人が(流行とは関係のない)森林型黄熱でした。
- コンゴ共和国および中央アフリカ共和国と国境を接するSud Ubangi(南ウバンギ州)で、流行が始まって以来、8月25日の週に、初めて可能性の高い患者が報告されました。確定診断されるのか、破棄されるのか、輸入感染か国内感染か、現在の流行によるものか、森林型かといったことの調査が行われています。2番目に通知された症例は、南ウバンギ州でもあるBudjala 保健地域で9月8日の週に報告され、これもまた、調査中です。
- Tshuapa(チュアバ)州のYalifafu保健地域で8月25日の週に報告された森林型黄熱の2症例の調査は、これらは独立した症例であるとわかり結論づけられました。
- 国内感染患者13人は、3州10地区[キンシャサ(6人)、中央コンゴ州(2人)、クワンゴ州(5人)]から報告されました。
- キンシャサで最も新しい患者の発症が確認された日は、6月22日です。DRCで最も新しい確定患者はクワンゴ州Kahemba衛生地区からで、発症日は7月12日でした。
図1.黄熱の確定診断患者の分布図[コンゴ民主共和国]
※9月8日現在
感染への対策
- 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
- 予防接種キャンペーンは、アンゴラの73の自治体で完了し、15,962,052人(アンゴラの人口の65%)がワクチン接種されました。先行予防接種キャンペーンは、8月15日に始まりました。キャンペーンの第1段階は完了し、9月1日の時点で2,807,628人が接種を受けました。これは接種対象人口の94%を表します。第1段階では22地区のうち15地区で少なくとも接種対象人口90%が、行政のワクチン接種を達成しました。追加のワクチン接種活動は、ワクチン接種率が80%に達しなかった3つの地区(Dirico地区とNamacunde地区と Sumbe地区)で進行中です。第2段階のキャンペーンでは、12州の21地区で300万人以上をワクチン接種対象とされています。
- コンゴ民主共和国では、先行予防接種キャンペーンが終了しています。予備的な結果は、キンシャサ市では行政予防接種率は103.1%、中央カサイ州では101%、中央コンゴ州では98.3%、カサイ州では101%、クワンゴ州では101%、ルアラバ州では100.8%を示しています。独自調査では、ワクチン接種率は現在、キンシャサ市で98.2%であると評価しました。9月8日現在、報告されている保健地域で1000万人以上の人が、ワクチン接種を行いました。追加の予防接種キャンペーンは、Feshi保健地域(クワンゴ州)とMushenge保健地域(クワンゴ州)で計画されています。
- WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫に加えて、ブラジルのBio-Manguinhos施設から、アンゴラとコンゴ民主共和国に約2,700万回分のワクチンを搬出しました。
- 2016年9月7日現在、アンゴラでは1,810万回分のワクチンが、DRCでは940万回分のワクチンが接種されてきました。
- 現在、ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は400万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。
出典
WHO. Situation Report, Emergencies. 9 September 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250077/1/yellowfeversitrep9Sep16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:970KB]