2016年09月13日更新 ジカウイルス感染症とその合併症について噂の払拭

ヤブカ属に対してより効果がある特定の防虫剤はありません。

ヤブカ属の蚊を含むすべての蚊に対して効果的な防虫剤がたくさんあります。効果的な防虫剤は、最も一般的で生物学的な活性成分であるDEET(ジエチルアミド)やIR3535やイカリジンがあります。活性成分は製品表示に記載されています。蚊が体に止まったり近づいたとき、以下の活性成分は蚊を防いだり殺虫します。:DEET(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)やIR3535(3-[N-ブチル-N-アセチル],アミノプロピオン酸エチルエステル)やイカリジン(ピペリジンカルボン酸-1,2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルプロピルエステル)。

必要とされる活性成分の、最低のまたは最大の含有率はありません。防虫剤は、露出した皮膚や衣服の上からの蚊の咬刺に対して保護するために適しています。WHOは、チクングニヤ熱やデング熱やジカウイルス感染症のようなウイルスを媒介する蚊の咬刺に対して防御するために、効果的な措置として、できる限り衣服で皮膚を覆い、防虫剤を使用することを推奨します。

防虫剤は、表示の指示に厳密に従って使用しなければなりません。製品の表示の指示に従って使用している場合には、これらの防虫剤の妊婦に対する使用制限のエビデンスはありません。

オスの蚊の個体数を制御するために使用されている細菌は、ジカウイルス感染症をさらに拡散するようなことはありません。

ボルバキアは、デング熱やジカウイルス感染症のように、蚊の体内で増殖するウイルスの増殖を止めることができる細菌で、そのため、蚊がヒトにこれらの病気を広めることを止めます。この細菌を持つオスと、メスが交尾するとき、その虫卵は孵化せず、従って蚊の個体数を抑制することができます。ボルバキア菌は、蝶やショウジョウバエやいくつかの蚊を含む、一般的な昆虫の60%にみられます。

ボルバキア菌を持つヤブカ属の蚊は、2011年以来、デング熱(ジカウイルス感染症を伝播する蚊と同じ蚊が媒介します)を制御するために、オーストラリア、ブラジル、ベトナムを含むいくつかの場所で、試行試験の一環として放出されています。科学者たちは、2014年9月にリオデジャネイロ郊外で、何千ものボルバキアに感染した蚊を放しました。これらの先導研究の展開には、この新しいツールによって、疾病の制御と広がりの停止が成功するかを見るために、監視と評価が必要です。WHOのベクター制御諮問グループは、このような研究を設計する最善の方法に関するマニュアルを準備しています。マニュアルは、今年の後半に発出される予定です。

ジカウイルスとその合併症は、ブラジルにおける遺伝的に改変された蚊の放出と関連しているというエビデンスはありません。

ブラジルのジカウイルス感染症や小頭症が、遺伝的に改変された蚊によって引き起こされているというエビデンスはありません。遺伝的に改変されたオスの蚊のみが放出されており、メスだけがヒトを咬刺するので、ヒトへの疾患伝播の危険性はありません。オスの蚊の遺伝子は、将来の子孫が死ぬように改変されています。この方法は、蚊の個体数を制御するように設計されています。

WHOは、防御の最も直接的な方法として、被感染国とそのパートナーが現在の蚊制御介入の利用を促進することを推奨し、また将来的に適用される可能性のある新しい方法を慎重にテストすることを奨励します。

不妊化したオスの蚊が、ジカウイルス感染症の拡散の一因であるというエビデンスはありません。

ジカウイルス感染症を止めるために開発された技術は、低線量の放射線により不妊化されているオスの蚊を、制御して大量に放出することです。不妊化したオスが交尾するとき、メスの虫卵は生存しません。不妊化したオスが自然環境で繁殖力のあるオスを上回ったとき、その蚊の集団は絶滅します。この技術は、例えば、昆虫やショウジョウバエに対して過去に使用されています。

この技術が、小頭症症例や他のヒトの異常や欠損の増加に関連しているというエビデンスはありません。しかし、この技術の公衆衛生上の価値に対するエビデンスを確立する必要があります。WHOは、被感染国とそのパートナーが、防御の最も直接的な方法として現在の蚊の制御介入の利用を拡大することを奨励し、将来潜在的に適用する可能性がある新しい制御ツールを、慎重にテストすることを推奨します。

ジカウイルス感染症のほとんどの症状は、季節性インフルエンザの症状とは異なります。

季節性インフルエンザとジカウイルス感染症の両方に共通する症状は、発熱(発熱の高さは違います)や筋肉痛や関節痛です。

季節性インフルエンザは重篤な疾患や死亡を引き起こす可能性があります。この疾患は、突然発症する発熱、咳(通常は乾性)、頭痛、筋肉痛、関節痛、重度の倦怠感(体調不良な感じ)咽頭痛、鼻水を特徴とします。

ジカウイルス感染症は通常軽度の症状を引き起こし、ほとんどの人は症状がでません。ジカウイルス感染症の最も一般的な症状には、低めの発熱、結膜炎、筋肉痛、関節痛が含まれますが、ウイルスを持つ蚊から人が感染した数日後、または感染者と性交した数日後に症状は現れます。しかし、ジカウイルスは、致命的な状態になりうる小頭症やギラン・バレー症候群の原因であるという科学的な統一見解があります。

ワクチンが赤ちゃんの小頭症を引き起こすというエビデンスはありません。

フランス領ポリネシアで2013年から2014年の流行時に初めて見られた小頭症症例の増加や、最近のブラジル北東部の流行時に見られた小頭症症例の増加に、ワクチンが関連するエビデンスはありません。

2014年に発表された文献の大規模な見直しでは、妊娠中に投与されたワクチンが先天性欠損を起こしたというエビデンスはありませんでした。ワクチンの安全性に関する世界諮問委員会は、ワクチンの安全性の問題に関して世界保健機関(WHO)に独立した科学的助言を提供しますが、2014年に同様の結論に達しました。

加えて、国の規制機関は、ワクチンのように、公共の配布用に発出する製品が適切に評価され、品質と安全性の国際基準を満たすことを保証する責任があります。

WHOは、各国が自国の規制制度を強化することを支援しています。

ピリプロキシフェン含有殺虫剤が、小頭症を引き起こすというエビデンスはありません。

WHOの科学者チームは、最近、蚊の個体数を減らすために推奨している12ある幼虫駆除剤の1つであるピリプロキシフェンの毒性に関するデータを見直しました。この幼虫駆除剤は、妊娠の経過や胎児の発育に影響を与えるというエビデンスはないことがわかりました。製品の個別審査を行ったとき、米国環境保護庁と欧州連合の研究者は同様の結論に達しました。

幼虫駆除剤は、公衆衛生の専門家の兵器庫の中の重要な武器です。特に、水道水がない都市や町では、人々は屋外の容器に飲料水を貯蔵する傾向があります。これらの水の供給源は、ゴミや植木鉢やタイヤに貯まる可能性のある環境水と同様に、蚊の理想的な繁殖地を提供します。

ピリプロキシフェンなどの幼虫駆除剤は、幼虫の段階で蚊を殺すために、多くの場合人々が水を貯める容器内で使用されています。人がピリプロキシフェンで処理された容器から水を飲むときは、幼虫駆除剤に暴露することになります-しかし、微量で健康に害は与えません。さらに、摂取された幼虫駆除剤の90%-95%は、いずれも48時間以内に尿中に排出されます。この製品は、1990年代の後半から使用されていて、小頭症に関連はありません。

魚はジカウイルス感染症の拡散停止を助ける可能性があります。

ジカウイルス感染症とデング熱の影響を受けているいくつかの国では、蚊の制御の統合的なアプローチの一環として、生物学的方法を利用しています。例えば、漁村からの強力なサポートがあるエルサルバドル共和国では、貯水容器に幼虫を捕食する魚を入れています。

出典

WHO.Emergencies12September2016
Dispelling rumours around Zika and complications
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/articles/rumours/en/