2016年09月20日更新 黄熱の発生状況(更新20)

2016年9月16日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。詳細は原文でお確かめください。

更新の要点

  • アンゴラの9月15日現在の疫学情報です。
    • 今週、新たに検査による陽性患者が4人ありました。このうち2人は、最近、ワクチンの接種歴があったために棄却されました。残る2人については現在調査中です。
    • ワクチン接種キャンペーンの第2弾が準備され、まもなく、9州12地区で始まることになっています。
  • コンゴ民主共和国における9月14日現在の疫学情報です。
    • (9月9日の発生状況の報告において)Sud Ubangui(南ウバンギ州)Budjala衛生行政地域から報告された2番目の患者は、黄熱であることが確認されました。調査によれば、この患者は森林型黄熱として分類され、流行とは関係ありませんでした。(8月26日の発生状況の報告において)Sud Ubangui(南ウバンギ州)Bominenge衛生行政地域から報告された最初の患者の調査が、現在も続いています。
    • コンゴ民主共和国における流行に先行したワクチン接種キャンペーンは終了しました。この結果、全体での予防接種の投与率は6週で102.7%となっています。Kwango(クワンゴ州)FeshiとMushengeの衛生行政地域でのワクチン接種キャンペーンの対応策が来週には始まります。

分析

森林型黄熱の疑い患者および確認患者の発見が続いていることは、いくつもの地域で調査活動が活発に行われていることを示しています。それでも、調査活動や検査確認の対処能力の中にある問題点に注意を向けることは重要です。遠隔の土地では、患者の発見が遅れる可能性が残っています。したがって、強力かつ継続的に調査活動を行う取り組みが、これまで以上に重要となります。

疫学的な発生状況

アンゴラ

  • 今週、新たに検査による陽性患者が4人ありました。このうち2人は、最近、ワクチンの接種歴があったために棄却されました。残る2人については現在調査中です。
  • この2週間での週別疑い患者数(29.5人)は、その前の2週間での数値(59人)よりも減少しました。
  • 2015年12月5日から2016年9月8日までの状況は、以下のようになっています。
  • 疑い患者は4,100人で、このうち373人が死亡しています(致死率:9.1%)。
  • 検査確定患者は884人で、このうち121人が死亡しています(致死率:13.7%)。
  • 流行の開始以来、疑い患者は18州ある全ての州から報告されています。確定患者は16州80地区から報告されました。地域での感染伝播は12州45地区から報告されました。
  • Luanda(ルアンダ州)とHuambo(ウアンボ州)で、最も多くの患者が報告されています。9月8日現在、ルアンダ州では確定患者488人を含む患者2,072人(23.6%)が報告され、ウアンボ州では確定患者128を含む人患者641人(20.0%)が報告されました。

コンゴ民主共和国(DRC)

  • 2016年1月1日から9月14日までの状況は、以下のようになっています。
  • 26州全ての州から2,707人の疑い患者が出ています。
  • 検査が行われた疑い患者2,345人において76人が確定診断されました。このうち16人が死亡しています(致死率:21%)。
  • 確定患者76人は8つの州から報告されました。57人がアンゴラでの感染、13人が国内での感染、6人が(流行とは関係のない)森林型黄熱でした。
  • コンゴ共和国および中央アフリカ共和国と国境を接する南ウバンギ州で、8月25日の週に流行が始まってから初めて、可能性の高い患者が報告されました。現在、その患者の調査が行われています。9月8日の週に南ウバンギ州Budjala衛生行政地域から報告された2人目の患者は、黄熱であることが確認されましたが、この患者は森林型黄熱として分類されました。流行とは関係ありませんでした。
  • 国内感染患者13人は、3州10地区[キンシャサ(6人)、中央コンゴ州(2人)、Kwango州(5人)]から報告されました。
  • キンシャサで最も新しく患者の発症が確認された日は、6月22日です。DRCで最も新しく森林型黄熱の確定患者が発症した日は、8月17日で、南ウバンギ州Budjala衛生行政地域からでした。

図.黄熱の確定診断患者の分布図

図1.黄熱の確定診断患者の分布図[コンゴ民主共和国]
※9月14日現在

感染への対策

  • 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
  • ワクチン接種キャンペーンの第2弾が準備され、まもなく、9州12地区で始まることになっています。
  • コンゴ民主共和国における流行に先行したワクチン接種キャンペーンは終了しました。この結果、全体での予防接種の投与率は6週で102.7%となっています。6州での接種率は、キンシャサで104パーセント、中央カサイ州で102パーセント、中央コンゴ州で98%、カサイ州で95%、クワンゴ州で101パーセント、およびルアラバ州で101パーセントでした。クワンゴ州のFeshiとMushengeの衛生行政地域でのワクチン接種キャンペーン対応策が、来週、行われる計画です。
  • WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫に加えてブラジルのBio-Manguinhos施設から、アンゴラとコンゴ民主共和国に約2,700万回分のワクチンを搬出しました。
  • 2016年9月14日現在、アンゴラでは1,810万回分のワクチンが、DRCでは940万回分のワクチンが接種されてきました。
  • 現在、ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は570万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 16 September 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250129/1/yellowfeversitrep16Sep16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:738KB]