2016年09月26日更新 黄熱の発生状況(更新21)
2016年9月23日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。詳細は原文でお確かめください。
更新の要点
- アンゴラの9月15日現在の疫学情報です。
- 最後に確定された患者の発症日は6月23日でした。
- 先週の発生状況報告検査結果が陽性であった患者4人のうち3人は、最近のワクチンの接種歴があったために棄却されました。Huambo(ウアンボ)州Tchindjenje地区から報告された残る患者1人については、現在、調査が続けられています。
- ワクチン接種キャンペーンの第2弾が準備され、まもなく、9州12地区で始まることになっています。
- コンゴ民主共和国における9月18日現在の疫学情報です。
- 森林型黄熱以外で最後に確定診断された患者の発症日は7月12日でした。
- 新たに9人の患者の調査が行われています。キンシャサ州で8人、Tshuapa州Lingomonoの衛生行政地域で1人です。8月26日の発生状況で報告されたSud Ubangui(南ウバンギ州)Bominenge衛生行政地域から報告された初めての患者を含めて、合計で患者12人の調査が行われています。
- Kwango(クワンゴ)州FeshiとMushengeの衛生行政地域で、ワクチン接種キャンペーン対応策がまもなく始まります。
- コンゴ共和国では、流行に先行したワクチン接種キャンペーンが計画されています。
分析
疑い患者や確定患者の発見や調査が続いていることは、いくつもの地域で調査活動が活発に行われていることを示しています。それでも、調査活動や検査確認の対処能力の中にある固有の問題点に注意を向けることは重要です。いくつもの遠隔の土地では、患者の発見が遅れる可能性が残っています。したがって、強力かつ継続的な調査活動への取り組みが、これまで以上に重要となります。
疫学的な発生状況
アンゴラ
- 先週の発生状況報告において検査結果が陽性であった患者4人のうち3人は、最近のワクチン接種歴があったために棄却されました。残る患者1人について、現在、調査が続けられています。
- 2015年12月5日から2016年9月15日までの状況は、以下のようになっています。
- 疑い患者は4,120人で、このうち373人が死亡しています(致死率:9.1%)。
- 検査確定患者は884人で、このうち121人が死亡しています(致死率:13.7%)。
- 流行の開始以来、疑い患者は18州ある全ての州から報告されています。確定患者は16州80地区から報告されました。地域での感染伝播は12州45地区から報告されました。
- Luanda(ルアンダ州)とHuambo(ウアンボ州)で、最も多くの患者が報告されています。9月15日現在、ルアンダ州では確定患者488人を含む患者2,082人が報告され、ウアンボ州では確定患者128人を含む患者642人が報告されました。
コンゴ民主共和国(DRC)
- 2016年1月1日から9月18日までの状況は、以下のようになっています。
- 26州全ての州から2,770人の疑い患者が出ています。
- 検査が行われた疑い患者2,345人において76人が確定診断されました。このうち16人が死亡しています(致死率:21%)。
- 確定患者76人は8つの州から報告されました。57人がアンゴラでの感染、13人が国内での感染、6人が(流行とは関係のない)森林型黄熱でした。
- 新たに患者9人の調査が行われています。キンシャサ州で8人、Tshuapa州Lingomonoの衛生行政地域で1人です。初めて南ウバンギ州Bominenge衛生行政地域から報告された患者を含めて、合計で患者12人の調査が行われています。コンゴ共和国および中央アフリカ共和国と国境を接する南ウバンギ州で、8月25日の週に、流行が始まって以降で初めて、可能性の高い患者が報告されました。
- 国内感染患者13人は、3州10地区[キンシャサ(6人)、中央コンゴ州(2人)、Kwango州(5人)]から報告されました。
- 最も感染の影響を受けた年齢層は25歳から29歳の男性(10万人中0.53人)と35歳から39歳の女性(10万人中0.16人)でした。
図1.黄熱の確定診断患者の分布図[コンゴ民主共和国]
※9月18日現在
感染への対策
- 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
- アンゴラでは、ワクチン接種キャンペーンの第2弾が準備され、まもなく、9州12地区で始まることになっています。
- コンゴ民主共和国では、クワンゴ州のFeshiとMushengeの衛生行政地域で行われる10日間のワクチン接種キャンペーン対応策が、まもなく開始されます。
- WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫ワクチンにブラジルのBio-Manguinhos施設からのワクチンを加えて、アンゴラとコンゴ民主共和国にワクチン約3,000万回分を搬出しました。
- 2016年9月20日までに、アンゴラでは2,000万回分のワクチンが、DRCでは940万回分のワクチンが接種されてきました。
- 現在、ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は570万本となっています。既に流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。
出典
WHO. Situation Report, Emergencies. 23 September 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250147/1/yellowfeversitrep23Sep16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:769KB]