2016年10月03日更新 黄熱の発生状況(更新22)

2016年9月30日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。詳細は原文でお確かめください。

更新の要点

  • アンゴラの9月22日現在の疫学情報です。
    • 最後に確定された患者の発症日は6月23日でした。
  • コンゴ民主共和国における9月27日現在の疫学情報です。
    • 森林型黄熱以外で最後に確定診断された患者の発症日は7月12日でした。
    • 調査中であったキンシャサ州の8人のうちの5人は、黄熱ワクチンを接種していたことから新たな
    • 黄熱患者からは除外されました。7人が、まだ調査中です。
    • Kwango(クワンゴ)州FeshiとMushengeの衛生行政地域で、ワクチン接種キャンペーン対応策
    • が来週には始まります。
  • コンゴ共和国で、感染対策ワクチン接種キャンペーンの実施が計画されています。

分析

疑い患者や確定患者の発見や調査が続いていることは、いくつもの地域で調査活動が活発に行われていることを示しています。それでも、調査活動や検査確認の対処能力の中にある固有の問題点に注意を向けることは重要です。いくつもの遠隔の土地に、患者の発見が遅れる可能性が残っています。したがって、強力かつ継続的な調査活動への取り組みが、これまで以上に重要となります。

疫学的な発生状況

アンゴラ

  • 9月16日に調査中として報告されていた検査結果が陽性の患者4人は、全員にワクチン接種歴があったために、新たな黄熱患者としては棄却されました。
  • 2015年12月5日から2016年9月22日までの状況は、以下のようになっています。
  • 疑い患者は4,143人で、このうち373人が死亡しています(致死率:9.0%)。
  • 検査確定患者は884人で、このうち121人が死亡しています(致死率:13.7%)。
  • 流行の開始以来、疑い患者は18州ある全ての州から報告されています。確定患者は16州80地区から報告されました。地域での感染伝播は12州45地区から報告されました。
  • Luanda(ルアンダ州)とHuambo(ウアンボ州)で、最も多くの患者が報告されています。9月22日現在、ルアンダ州では確定患者488人を含む患者2,092人(報告患者数の50%)が報告され、ウアンボ州では確定患者128人を含む患者642人(報告患者数の12%)が報告されました。

コンゴ民主共和国(DRC)

  • 2016年1月1日から9月27日までの状況は、以下のようになっています。
  • 26州全ての州から2,810人の疑い患者が出ています。
  • 検査が行われた疑い患者2,345人において76人が確定診断されました。このうち16人が死亡して
    います(致死率:21%)。
  • 確定患者76人は8つの州から報告されました。57人がアンゴラでの感染、13人が国内での感染、
    6人が(流行とは関係のない)森林型黄熱でした。
  • 調査中であったキンシャサ州の8人のうちの5人は、黄熱ワクチンを接種していたことから新たな黄熱患者からは除外されました。初めて南ウバンギ州Bominenge衛生行政地域から報告された患者(8月25日の週に初めて報告)を含めて、患者7人の調査が行われています。調査中の6人は、Tshuapa州(1人)、Bas Uele州(1人)、キンシャサ州(4人)からとなっていました。
  • 現在の流行に関連した国内感染患者13人が、3州10衛生行政地域から報告されています。キンシャサ州(6人)、中央コンゴ州(2人)、クワンゴ州(5人)からでした。最も感染の多い年齢層は、男性が25-29歳(10万人中0.53人)、女性が35-39歳(10万人中0.16人)でした。

感染への対策

  • 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
  • コンゴ民主共和国では、クワンゴ州のFeshiとMushengeの衛生行政地域で行われる10日間の感染対策ワクチン接種キャンペーンが、来週には開始されます。先月、流行に先立ってワクチン接種キャンペーンが行われた62の衛生行政地域では、監視体制が続けられています。最近の政情不安が、運用上の課題に上がってきています。WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫ワクチンにブラジルのBio-Manguinhos施設からのワクチンを加えて、アンゴラとコンゴ民主共和国にワクチン約3,000万回分を搬出しました。
  • 2016年9月27日までに、アンゴラでは2,000万回分のワクチンが、DRCでは940万回分のワクチンが接種されてきました。
  • 現在、ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は880万本となっています。既に流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 30September2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250254/1/yellowfeversitrep30Sep16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:725KB]