2016年10月31日更新 黄熱の発生状況(更新26)

2016年10月28日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。詳細は原文でお確かめください。

更新の要点

  • アンゴラの10月20日現在の疫学情報です。
    • 最後に確定された患者が発症したのは6月23日でした。
    • 黄熱ワクチンの接種歴のない感染の可能性が高い患者2人が、先週、Kwanza Sul(クアンザ・スル)から報告されました。
    • ワクチン接種キャンペーンの第2弾が続けられています。対象となる住民は、10州200万人超となります。
  • コンゴ民主共和国における10月26日現在の疫学情報です。
    • 森林型黄熱以外で最後に確定診断された患者の発症日は7月12日でした。
    • 森林型黄熱の確定患者がSud Ubangui(南ウバンギ)州Bominenge衛生行政地域から報告されました。
    • 感染の可能性が高い患者14人が、現在も調査中です。
    • 流行対策としてのワクチン接種キャンペーン対応策が、Kasai(カサイ)州Mushengeの衛生行政地域で10月20日に始まりました。

分析

アンゴラでの大半の感染の可能性が高い患者は、ダカールのパスツール研究所によって黄熱患者の除外診断が行われました。彼らは、その他に可能性のある原因疾患を判別するための全検査が終わるまでは、感染の可能性が高い患者として分類されます。最終結果を受け取ったときには、患者は再分類されます。同時に、感染の可能性が高い患者2人が報告されたクアンザ・スル州では、これまでどおり、流行対策としてのワクチン接種キャンペーン対応策が続けられています。

疫学的な発生状況

アンゴラ

  • 黄熱ワクチンの接種歴のない感染の可能性が高い患者2人が、先週、Kwanza Sul(クアンザ・スル)から報告されました。
  • 感染の可能性が高い患者45人のうち、10月13日までの4週間に、31人が診断を除外され、2人がさらに検査を続けられており、12人が委員会による分類を待っています。
  • 2015年12月5日から2016年10月20日までの発生状況は、以下のようになっています。
  • 疑い患者は4,347人で、このうち377人が死亡しています(致死率:8.7%)。
  • 検査確定患者は884人で、このうち121人が死亡しています(致死率:13.7%)。
  • 流行の開始以来、疑い患者は18州全てから報告されています。確定患者は16州80地域から報告されました。地域内での感染伝播は12州45地域での発生が報告されました。

コンゴ民主共和国(DRC)

  • 2016年1月1日から10月26日までの状況は、以下のようになっています。
  • 26州全ての州から2,987人の疑い患者が出ています。
  • 検査が行われた疑い患者2,800人において78人が確定診断されました。このうち16人が死亡しています(致死率:21%)。
  • この確定患者78人は、8つの州から報告され、57人がアンゴラでの感染、13人が国内での感染、8人が(流行とは関係のない)森林型黄熱への感染でした。
  • 森林型黄熱の新たな確定患者1人は、Sud Ubangui(南ウバンギ州)Bominenge衛生行政地域から報告されました。この患者は、先週、調査中として報告されていた感染の可能性の高い患者16人のうちの1人でした。この新たに報告された森林型黄熱患者は8月17日に症状を発現していました。
  • 感染の可能性が高い患者14人が、現在も調査中です。(キンシャサで3人、Kwango(クワンゴ)州で8人、Bas Uele、Kwilu、Lualabaの各州で1人ずつです)。また、調査中であったSud Ubangiの患者は、黄熱ワクチンの接種歴があったことから除外されました。

感染への対策

  • 現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで引き続き更新されています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
  • アンゴラでは、ワクチン接種キャンペーンの第2弾が始まりました。対象となる住民は、10州12地区に住む200万人超となります。
  • コンゴ民主共和国では、Kwango(クワンゴ)州Feshi衛生行政地域で行われていた流行対策としてのワクチン接種キャンペーン対応策は、接種対象住民146,449人に対し延152,492人(接種率104.1%)にワクチンが接種され、終了しました。10月20日に始まったKasai(カサイ)州Mushenge衛生行政地域での流行対策としてのワクチン接種キャンペーン対応策は、続けられています。8月に、流行に先立ってワクチン接種キャンペーンが行われた62の衛生行政地域では、監視体制が続けられています。
  • WHOは、ICG(黄熱ワクチン供給国際調整グループ)が保管する世界中の在庫ワクチンにブラジルのBio-Manguinhos施設からのワクチンを加えて、3,000万回分を超えるワクチンをアンゴラ、コンゴ民主共和国、ウガンダに搬出しました。
  • 2016年10月25 日までに、アンゴラでは2,000万回分のワクチンが、DRCでは940万回分のワクチンが接種されました。
  • 現在、ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は690万本となっています。既に流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 28 October 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/250661/1/yellowfeversitrep28Oct16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:753KB]