2016年11月18日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新11)
2016年11月11日、中国国家衛生家族計画委員会(NFHPC)はWHOに対して、2例の新たな鳥インフルエンザ(H7N9)ヒト感染症例に関して通知しました。
報告の概要
- 77歳女性、浙江省在住で、2016年10月6日に発症しました。症状が発症する前に、生きた家禽との接触がありました。症状は重篤であると報告されています。
- 89歳男性、江蘇省在住で、2016年10月20日に発症しました。生きた家禽との接触は知られていません。症状は重篤であると報告されています。
2013年初頭以降、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者800人が報告されています。
公衆衛生上の取り組み
中国政府は以下のサーベイランスおよび制御手段を講じました。
- サーベイランスおよびその評価分析の強化。
- 鳥インフルエンザ症例に対する医療ケアの強化。
- 一般大衆に対するリスクコミュニケーション。
WHOのリスク評価
人におけるほとんどの患者は、感染した家禽との接触または生きた家禽を扱う市場などのウイルスに汚染された環境との接触を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスが動物や環境中で検出され続けている限り、さらに患者が発生することが予想されます。医療従事者が関係する感染も含めて、これまでにも人への感染の小さな集団発生は報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。それ故に、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。
このA(H7N9)ウイルスの人での感染は稀ですが、公衆衛生上に深刻な影響を与える可能性があるものとして、このウイルスの変異の有無および/または人への感染率の変化を検出する必要があり、厳密に監視することが必要です。
WHOからのアドバイス
WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。
WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。
WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人症例が生じた際には国際保健規則(2005)に基づき必ずWHOに報告し、各国国民の健康に備える活動を続けていくことを求めています。
中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。
出典
WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 17 November 2016
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China
http://www.who.int/csr/don/17-november-2016-ah7n9-china/en/