2016年11月21日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新40)

2016年11月17付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

情報更新の要点

  • 先週、新しく蚊の媒介によるジカウイルス感染症が報告された国と地域はありません。
  • 先週、アルゼンチンとグアドループで、新しくジカウイルス感染症が関係する可能性のある小頭症その他の中枢神経系(central nerve system: CNS) 奇形が報告されました。
  • 先週、新しくジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群(GBS: Guillain-Barré syndrome)が報告された国と地域はありません。
  • ジカウイルスおよび神経疾患と新生児奇形に関する第5回緊急委員会が、2016年11月18日に開かれることになっています。緊急委員会は、これまでの勧告の実施状況と効果を再検討、現在の状態が依然として国際的な脅威となる公衆衛生上の緊急事態の要件を満たしているかの助言を行い、新しい勧告や既存の勧告の改訂の必要性を判断します。

分析

全体として、世界におけるリスク評価は変わっていません。ジカウイルスは、媒介する蚊が棲息する地域で、地理的に拡大し続けています。いくつもの国、いくつもの地域で、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。

発生状況

  • 75の国と地域で、2007年以来(2015年以降、69の国と地域からです)蚊が媒介するジカウイルス感染伝播のエビデンスが報告されています。
    • 2015年以降、58の国と地域で流行発生が報告されました。
    • 7つの国と地域で、2016年に、蚊が媒介するジカの感染の地域感染の可能性やエビデンスがあります。
    • 10の国と地域で、2015年以前もしくは2015年に地域で蚊が媒介するジカウイルス感染のエビデンスが報告されています。しかし、これらの国と地域では、2016年には患者が報告されていないか、又は流行が終息しています。
  • 2016年2月以降、12の国でジカウイルスのヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されました。
  • 28の国と地域で、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染症が示唆される小頭症その他の中枢神経奇形が報告されました。最新では、アルゼンチンとグアドループで、ジカウイルスと関係する可能性が高い小頭症患者が報告されました。
  • 19の国と地域で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生数の増加、および/またはGBS患者でジカウイルス感染症の検査確認が報告されました。
  • ギニア・ビサウでは、4月初めに確認された小頭症5例の調査が行われ、ジカウイルスに対するPCR法検査、ジカウイルスに特異的なIgMともに陰性と判明しました。小頭症3例では、ジカウイルスとチクングニアウイルスに対するIgGが陽性でした。血清中和法検査が実施されており、結果が待たれています。

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 17 November 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/251462/1/zikasitrep17Nov16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:165KB]