2016年11月21日更新 国際保健規則に基づくジカウイルスおよび神経疾患と新生児奇形の増加に関する第5回緊急委員会のWHO声明

2016年11月18日に、WHOはジカウイルス感染症および神経疾患と新生児奇形の増加に関する国際保健規則(IHR:2005)緊急委員会に基づき国際的な脅威に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の終息の声明を発表しました。しかしながら、この声明は、流行が終息したことによるものではありません。ジカウイルス感染症が、さらに長期的な体制に移行する必要があるために解除されたものです。引き続き、ジカウイルスへの感染には注意してください。

国際保健規則(IHR 2005)に則り、ジカウイルスの感染が発生した幾つもの地域で小頭症やその他の神経障害患者が集団発生していることについて話し合うために、第5回緊急委員会が事務局長によって招集されました。会議は、2016年11月18日に電話会議で開かれました。

委員会には、前回の第4回緊急委員会で出されて助言に基づき事務局長により発行された一時勧告の実施状況の概要が提出されました。委員会は、ジカウイルスの地理的分布、自然史、疫学、ジカウイルスの感染が関係する小頭症や新生児におけるその他の合併症、ギラン・バレー症候群(GBS)、さらには、ジカウイルスの性行為感染に関する知見の現状など、最近の動向について情報を更新しました。
ブラジル、タイ、アメリカ合衆国といった加盟国からは、小頭症、GBS、ジカウイルスの伝播の中で起きているその他の神経障害、並びに実施中の感染制御への対策に関する情報が提出されました。

WHO事務局長により宣言された国際的な脅威に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)は、ジカウイルス感染症と関連する合併症が、他の感染症の脅威がWHO・締結国・その他の支援組織によって管理されているのと同様に、管理されていく必要のある非常に重要な長期的な問題であることへの理解を深めながら、世界を緊急かつ協調して対応する方向に導いてきました。

最初は2016年2月に、ブラジルで報告された小頭症とその他の神経障害が異常に集団発生したことに基づき、フランス領ポリネシアでも同様の小規模の集団発生が起こっていたことや、ジカウイルス感染症との地理的・時間的な関連性について緊急かつ協調しながら調査・研究を進める必要があったことから、緊急委員会によりPHEICが勧告されました。現在は、調査・研究でジカウイルス感染症と小頭症の関連性が示されてきたことから、緊急委員会は、強固に長期的な技術支援体制を創り、世界規模で対策を行うことが必要と考えました。

その結果、緊急委員会は、現状について、ジカウイルス感染症および関連する合併症は強力に取り組むべき大きな努力を要する公衆衛生上の課題であるとするものの、一方で、IHRの定義の下でのPHEICからは外れると考えました。これまでの調査・研究には全力で取り組みが行われてきましたが、この病気と関連する合併症には、まだまだ理解されるべきたくさんの側面があります。緊急委員会は、この病気がもつ長期的な性質および関連する合併症に対処するために、専従の人員を配置し継続的な取り組みへと計画を発展させる必要があることを勧めました。

委員会は、これまでの会議で提言された勧告を再度検討し、WHOおよび支援組織がこれらの助言に対し体系的に取り組むべきであるとの見解を示しました。さらに、緊急委員会は、WHOによる長期的な取り組みへ体制を確立させるための移行計画の概要が、既に配布されているジカウイルスの戦略的な対策計画の中での戦略目標に記されていることを確認し、これに同意しました。

この助言に基づき、事務局長は、国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の終息を宣言しました。事務局長は、この会議で出された一時勧告を再度発行しましたが、これは長期的な対策体制に組み入れられる予定です。事務局長は、この1年間、助言を行ってきた委員とアドバイザーらに謝意を示しました。

出典

WHO.Media center news.WHO Statements. 18November2016
WHO statement on the5rd meeting of IHR Emergency Committee on Zika virus and observed increase in neurological disorders and neonatal malformations
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2016/zika-fifth-ec/en/